「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、TwitterやFacebook、Instagram、そしてTikTokをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、「WWDJAPAN」も表紙に使った生成AIのお話。
ソーシャルエディター津田:6月19日号の「WWDJAPAN」は、ファッションロー特集。表紙はAIアートですが、ここ最近SNSでも頻繁に生成AIの話題を見かけます。中でもさまざまな議論を巻き起こしたのが、集英社の男性向け週刊誌「週刊プレイボーイ(以下、週プレ)」から誕生した、“AIグラビアアイドル・さつきあい”。彼女(と言っていいのわかりませんが)は、「週プレ」編集部が画像生成AIから生み出した架空のグラビアアイドルで、デジタル写真集も発売しました。発売時点で「グラビア業界が死んでしまう」や「AIだから不祥事が起き得なくていい」など、ネットでは賛否両論でしたが数日後、販売終了が発表されました。その理由について「週プレ」編集部は、「本企画について、発売後よりたくさんのご意見を頂戴し、編集部内で改めて検証をいたしました。その結果、制作過程において、編集部で生成AIをとりまくさまざまな論点・問題点についての検討が十分ではなく、AI生成物の商品化については、世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するにいたりました」と説明。理由は複合的だと思いますが、元アイドルの某女優にそっくりだと話題になったことが1番の原因ではないかと思います。
また最近のTwitterでは、AIで生成した架空の女性を使用し、あたかも実在の人物のように振る舞い、アマゾンの欲しいものリストやアフィリエイトに誘導する悪質な手口もよく見かけます。タレントの明日花キララも「この写真いつもと違う!?」と自身とそっくりのAIで生成した画像とテキストを投稿。本物の写真かどうかを見極める力を身に付けなければ、ネット社会では詐欺などに巻き込まれる可能性があることを注意喚起しました。村上さんは、ネット上でAIによる生成物と気付かずに接した経験はありますか?
記者村上:「気付かず接した」ほどではありませんが、生成AIで作ったウクライナのボロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領の“そっくりさん”が、「この戦争は無意味だ。みんな、早く故郷に帰れ」とスピーチしている動画を見て、「どういうこと?」と思ったのは印象に残っています。
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