英ロンドン拠点のブランド「クリストファー ケイン(CHRISTOPHER KANE)」を展開するクリストファー ケイン社は、経営破綻に直面し、管財人としてFTSリカバリー(FTS RECOVERY)を任命するべく意向通知を提出したことを明らかにした。
同社の代表は、「取締役会はこのほど、クリストファー ケインの救済計画を策定する十分な時間を確保するため、苦渋の決断を下した」と説明。「主なステークホルダーにはすでに通知済みだ。今後は既存債務の借り換え先、あるいは事業と資産の買い手を探すための活動を積極的に行っていくことになる」と付け加えた。
スコットランド出身のデザイナー、クリストファー・ケイン(Christopher Kane)は、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校を卒業後、2006年に自身の名を冠したブランドを設立。同年、ロンドン・ファッション・ウイークでデビューした。フェミニンでフェティッシュな要素を取り入れたエッジの効いたデザインで知られる。ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)に才能を見出され、09年から12年には「VERSACE(ヴェルサーチェ)」のセカンドライン「ヴェルサス ヴェルサーチェ(VERSACE VERSACE)」のコレクションも手掛けた。
13年には、「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を擁するケリング(KERING)が、クリストファー ケインの過半数株式を取得。18年にはその株式をケイン自身が買い戻し、独立したブランドとして運営を続けてきた。19年にはセカンドラインとなる「モア ジョイ(MORE JOY)」をローンチ。同ブランドのロゴアイテムは「クリストファー ケイン」18-19年秋冬コレクションのランウエイで初披露された後、独自のコレクションに発展し、Tシャツやパーカーなどのウエアからマグカップやタオル、ヨガマットまで、より手頃な価格のロゴアイテムを展開していた。「モア ジョイ」と並行して、ケインはシーズンごとのコレクションも続けてきたが、年2回の発表を縮小。15年にロンドンのマウント・ストリートにオープンした店舗も20年に閉鎖していた。