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ドナルドダックがシンボルのマリンとオリエンタルの融合
グリーン一色に包まれた空間。カーペットには今の「グッチ」を代表するアイコンのヘビが描かれ、うねうねと曲がりくねったランウエイ脇にはいくつものソファが配置されている。今季の「グッチ」のテーマはマリン。さながら大海原へ旅立つ船内のような空間でショーはスタートした。
航海を彷彿とさせる、スカーフをトロンプルイユで描いたボーダーのニットに代表されるよう、今季のベースはマリン。しかし船乗りは異国にたどり着き、出合ったものに感化され、自らのスタイルにオリエンタルのムードを取り入れていく。
象徴的なのは、随所に登場するディズニーキャラクターのドナルドダッグだ。最初はタキシードに登場したドナルドは、昇り竜や牡丹、弁髪(べんぱつ)の子どもたちなどオリエンタルな色や柄に触れ、最後は自身もオリエンタルに変身して、着物ガウンで登場する。ドナルドの変化は、船旅でさまざまなものと出合い、その文化を取り入れて変容するコレクション全体のストーリーを描いている。富士山や虎など、日本画を思わせるジャポニスムテイストも登場した。
あらゆるテイストをミックスするスタイルの根幹は変わらない。しかし今季は、航海という具体性のあるストーリーにのせてミックススタイルを提案している。ベースはレトロなロマンティック主義と、ハイパーミックスという手法は変わらないが、半年前のメンズはウエスタンやロック、ウィメンズはストリートやグラフィティー、そして今回はマリンとオリエンタルなど、アレッサンドロ・ミケーレのミックスはシーズンごと微妙に異なっており、「変わらない」とは言い切れない。
2017-18年秋冬コレクションはメンズとウイメンズ合同で発表する「グッチ」。この航海のたどり着く先にあるものは、一体どのような世界なのだろう。