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「セックス・アンド・ザ・シティ」続編がスタート スタイリストが語るキャリーやシャーロットのファッション

人気ドラマシリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ(SEX AND THE CITY. 以下、SATC)」のリブート版「AND JUST LIKE THAT... シーズン2/ セックス・アンド・ザ・シティ新章(以下、AJLT2)」の配信が22日、U-NEXTでスタートした。

ニューヨークでは公開前の8日から4日間、期間限定で「SATC」の25周年と「AJLT2」の公開を記念して期間限定イベントが開かれた。会期中にはキャリー演じるサラ・ジェシカ・パーカー(Sarah Jessica Parker)、スタイリングを手がけるスタイリストのモリー・ロジャース(Molly rogers)、ダニー・サンティアゴ(Danny Santiago)も来場してトークセッションを行うなど、同番組の25周年記念とシーズン2公開を祝した。

「SATC」や「AJLT」はキャリーをはじめ、キャストのスタイリングにも注目が集まることで知られている。作中で登場したアイテムはすぐに完売するなど、社会的な現象を巻き起こしてきた。「AJLT」では、オリジナルシリーズからスタイリングを手がけていたパトリシア・フィールド(Patricia Field)が、彼女の右腕として活躍したモリーとダニーにスタイリストの仕事をバトンパス。「AJLT2」の公開に際し、モリーとダニーが作中の注目ファッションについて語ってくれた。

「WWDJAPAN」(以下: 「WWD」):今回シーズン2のスタイリングをする際、特に設けたテーマはある?

モリー・ロジャース(以下、モリー):特定のテーマというものはありませんでしたが、常にインスピレーションを感じられるようなものを探していて、キャストたちには今まで誰も見たことがないようなスタイルを持ち込めたらと思っていました。

シーズン1のミスター・ビッグの死を乗り越え、
シーズン2では成長と希望を表現

「WWD」:シーズン1とシーズン2で、スタイリングに違いはある?

モリー:シーズン1は久しぶりにみんなが集まって、キャリー、シャーロット、ミランダに新しい仲間たちが加わりました。そしてミスター・ビッグの死という大きな出来事があって、お葬式があって、久しぶりに皆が集まって嬉しかったのに悲劇が訪れてしまう。でも、人生にはそういう試練があって、キャリーがどう乗り越えていくのかから何かを学んだ人も多かったと思います。シーズン2の脚本を読んだ時、感じたのは成長と希望です。愛する人が亡くなった後の人生もあれば、年をとってからの人生もある。人生には喜びや悲しみがあって、それがスタイリングにも表れていると思います。

WWD:シーズン1ではキャストが大きく変わり、オリジナルシーズンから時代も変わった。パンデミック後の新しい世界で彼女たちを描くために難しかったことは?

モリー:世の中について行くことですね。パンデミック後、私は世界が加速しているように感じました。あらゆるものへのアクセスも無限大になって、世界が小さくなったように感じたんです。今では当たり前になったオンライン・ミーティングも、以前では考えられなかったこと。シーズン1より前、彼女たちはそんな世界にいなかったけれど、彼女たちの住むニューヨークは世界でもっとも刺激的な都市の一つ。常に最新の情報をキャッチする必要があるし、この世界について行けるようにキャストたちを前進させたいと思いました。

ダニー・サンティアゴ(以下、ダニー):パンデミック後、インターネットを使ったナビゲーションに精通するようになり、情報がより早く得られるようになりました。それでも全てが早いので、トレンドを追うことは前よりも難しくなっています。シーズン1ではマスクが登場したり、キャリーがエレベーターのボタンを押す時に「グッチ(GUCCI)」のグローブをしているシーンが象徴的ですね。

WWD:個性的なキャストたちのスタイルはどのように決め、どのようにアップデートしている?

モリー:25年経つと、オリジナルシリーズはアイコニックなものになっています。最初からこの番組を見ている人なら、シャーロットはアッパーイーストサイドに住んでいて、キャリーはダウンタウンにいてミックスしたスタイルが好きで、ミランダは弁護士で、サマンサは男をもて遊んでいたことを知っていると思います。それはパトリシア・フィールドが彼女たちのDNAを強く打ち出したからです。私はオリジナルシーズンからこの番組に参加し、彼女たちのキャラクターを知り尽くしています。彼女たちのキャラクターを理解しているので、時代が変わって、人生が変わっても、常にアップデートできるんです。

ダニー:そうですね。彼女たちにはしっかりとしたDNAがあるので、2023年に連れてきただけという感じです。彼女たちのスタイリングのコンセプトはブレていませんし、今の時代の装いが反映されていると思います。

モリー:ミランダが一番変わりましたね。昔は弁護士で今は学生。ヘアカラーもグレーからレッドになって、彼女の中身も進化したと思います。それでもパトリシアが作ったロードマップがあるので、キャラクターが成長してもそれにふさわしいスタイリングができるんです。みんなが「SATC」を見てくれているので、世界中のどこの店に行っても「このブラウスはシャーロットが好きでしょ?」という感じでお勧めしてくれるんです。

年齢は単なる数字
お手本はカール・ラガーフェルド

WWD:50 代の女性の人生にフォーカスした番組はあまりないが、スタイリングの際に年齢は考慮している?

モリー:年齢は単なる数字に過ぎないと思っています。何歳になってもどのような格好をするのかにルールはなく、自分がその服を着て自信を持てるか、自分がその服を着て外に出た時に気持ちいいのか、そんな服を選ぶことが重要です。ある年齢になると、色々な経験値から自分に何が似合うのかが分かってきますよね。カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)がまさにそう。同じものを着て自信があって、自分に何が似合うか分かっている。ただ、自分に何が似合うか分かっているからこそ、コンフォートゾーンを抜け出すのが難しいということもあるけれど。

WWD:登場人物もダイバーシティになった今の時代を反映するスタイリングとは、どんなもの?

モリー:世界が早くなった今、私たちは常にアンテナを張っています。この番組にふさわしい商品を見逃さないようにしなければいけないので、ダニーはパソコンの前に座ってインターネットで何時間もビンテージの洋服を見て、私は店頭に赴いて生地を触っています。作中で出てくる鳩のバッグは、見つけるのが大変でした。友人が旅先で持っているのをSNSに投稿していて「それどこの⁉︎」ってすぐに連絡をしました。パンデミックが終わってからは、外に出る喜びを表すように大きなシルエットやカラフルな服が増えました。私たちはビンテージから有名デザイナー、新しいブランドのものまで、さまざまな洋服を扱いますが、有難いことにキャストたちは私たちのスタイリングを受け入れてくれます。サラ・ジェシカ・パーカーはどんなスタイリングでもチャレンジしてくれますね。時代的にサステナビリティを意識したり、ビンテージの洋服は積極的に取り入れたりしています。キャリーやシャーロット、ミランダはビンテージ支持者ですが、不動産業のシーマはビンテージを着ないキャラクターです。スタイリングは常に時代を反映していますが、キャラクターそれぞれの個性は尊重しています。

WWD:シーズン2の中で、特にお気に入りのスタイリングは?

モリー:なんだろう?すごくお気に入りのスタイリングがあっても場面に合わす、採用されないことも多いんですよね。

「ヴァレンティノ」のドレスに
「なんて美しいんだろう」

ダニー:私はニコール・アリ・パーカー(Nicole Ari Parker)演じるリサが着用した真っ赤な「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のドレスですね。昨年のオートクチュールでパリに行った際に見たドレスですが、赤で作ってもらえないかとお願いしたんです。彼女がそのドレスを着て道を横断するシーンがあるのですが、スペシャルオーダーで裾のトレーンを長くしてもらいました。あのシーンを現場で見た時に、なんて美しいんだろうと思いました。

WWD:オリジナルシーズンはSNSがない時代だったが、今はその影響を強く感じる?

ダニー:素晴らしい衣装で撮影していても、それがSNSによって世界中に広まってしまうと残念なことがあります。私たちはこのことについて、いつも話しています。拡散されることによってジャッジもされてしまうし、秘密や驚きがなくなってしまいます。それは仕方がないことではあるんですが……。

WWD:日本のファンへ見どころを教えてください。

モリー:キャリーが着ている大きめのスエットは、日本の方も好きだと思います。私も大好き。でスタイリングとしてはシンプルなのですが、これは見てほしいですね。

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