LGBTQ(性的マイノリティ)とその支持者・理解者を指すアライが一緒に創るジェンダーレスなファッションイベント「関西アライモ2023」がこのほど、大阪・天王寺の近鉄大阪阿部野橋駅に停車中の電車内で開催され、約170人が来場して盛況裏に終わった。2021年に始まった同イベントは、 ファッションを通じてLBGTQ当事者の存在をもっと身近に感じてもらい、関西からアライを増やしていくことを目的に開催され、今年で3回目。アライを増やし、見える化することによって、LGBTQを含めたすべての人にとって生きやすい世の中を作ることを目標にしている。
主催した関西アライモ実行委員会を代表する山本超基・実行委員長は、イベントを立ち上げた経緯について「19年にLGBTQコミュニティに参加したとき、当事者からアライとして非当事者の立場の声を上げてほしいと言われたことがきっかけ。ファッションショーの形にしたのは、一緒に声を上げようと集まってくれたのがデザイナーやモデルらファッション関係者だったから。ファッション業界には、自身のセクシャリティーを隠さず自由に表現している人が多く、理解者も多い。ファッションという誰にとっても身近な存在で多様性を表現できるのではないかと考えた」という。山本実行委員長は21年3月、ダイバーシティとジェンダーレスをテーマにしたファッションショー&トークショーを梅田のグランフロント大阪で初開催。翌年3月も同じ会場で2回目を開催し、LGBTQ当事者やアライのモデルらが出演して会場を盛り上げた。3回目の今回は、近畿日本鉄道が協力。近鉄電車の車内をランウエイに見立ててショーを開催し、その後、会場をあべのハルカス近鉄本店ウイング館8階に移してトークショーを行った。
ファッションショーには、「テルアキ タカハシ(TERUAKI TAKAHASHI)」や「チャンヌ(CHANNU)」「ヤスユキ イシイ(YASUYUKI ISHII)」「アート ドレス(ART DRESS)」の4ブランド、47体が出品。最多出品の「テルアキ タカハシ」の衣装をまったモデルがヴォーグダンスを踊るパフォーマンスも披露された。
トークショーでは、モデルとともにデザイナーやスタイリストらが登場した。第1回・第2回のトークショーにもゲストとして出演した、Qちゃんこと津村雅稔は「チャンヌ」のカラフルなビンテージ古着のスタイリングを披露。「『チャンヌ』のファッションは、ボクのどストライク。店舗に行ったときに好きな洋服ばかりで興奮してしまった」と、エピソードを明かした。同じく「チャンヌ」の洋服を着用した、いよたみのりも「カラフルな洋服は着たことがなかったけれど、一度着てみるとめちゃ楽しかった。年齢のせいで着たい服を諦めることはないとわかった」と笑顔を見せた。「ヤスユキ イシイ」の衣装をかっこよく着こなして登場したモデルのりょうは、「自分のまわりにも当事者がいるので、おもしろいイベントだと思った。当事者が近くにいない人でも、このイベントを通してLGBTQのことを考えていけたらいいのでは。今日は『ヤスユキ イシイ』の服をまとって、ステージを堂々と歩けた」と話した。
山本実行委員長は「めざすのはカミングアウトしてもしなくても、どちらでもよいと選べる社会であり、選んだその道を受け入れる社会。『私はアライです』、わざわざそう言ってもらえませんか。その見える化で救われる誰かがいます」と訴え、イベントを締めくくった。同イベントの様子は、オンラインのアーカイブとDVDでも視聴可能。クラウドファンディングサービス「エールレール(YELL-RAIL)」で7月16日頃まで販売中だ。