毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年6月26日号からの抜粋です)
本橋:いよいよコロナ感染防止のマスク着用推奨もなくなり、展示会へ行くと、どこもお出かけやパーティーがキーワード。そういう明るいムードを後押ししたい、ファッションの楽しさを表現したいというのが今回の特集のテーマです。
木村:「ラメ&グリッター」「英国調トラッド」「アンサンブル&カーディガン」「アウターバリエーション」「シアーマテリアル」「フレアスカート」の6つのトレンドにまとめましたが、本橋さんはどこのブランドの提案に引かれましたか?
本橋:いつもシーズンの口火を切るのはマッシュスタイルラボの展示会なので、そこでトレンドの傾向を大つかみしています。今回は「ミースロエ」でほとんど全てのボディーがキラキラアイテムを着けていたのが印象的で、直感的に「トレンドはこれだな」と確信しました。木村さんはどうでしたか?
木村:私は「エストネーション(ESTNATION)」の提案が好きでした。トラッドの文脈でテーラードのバリエーションを充実させていたのですが、それに今トレンドのシアー素材やチュールのインナーを合わせていて、いいなと思いました。
本橋:ルックの画像を見て思いましたが、やはりセレクトショップの提案はオシャレですよね。
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木村:そう見えますか?
本橋:僕が取材するアパレルブランドの多くは、コロナ禍で苦境に立たされたことで「ブランドの独自性を提案しよう」という流れになっていたんです。でも数字がついてこなかったという正直な声も聞こえていて……。再び売れ筋を追い求めて同質化傾向に戻ってしまうのではと心配していたのですが、今回のキラキラアイテムの提案には、また挑戦的なムードを感じました。売れてほしいですね。ただカッコよすぎると「(自分は)着られない」と敬遠されるので、まずは小物から取り入れるのが現実的なのかもしれません。リアルトレンドは塩梅が難しい。
木村:確かにキラキラも全身ラメは難しいですね。ラメのインナーやパテントのシューズで取り入れるような、さりげないくらいがちょうどいいと感じます。
本橋:そうですね。ラメトップスやキラッとしたアクセサリー、シルバーのパンプスなどを推していくのが等身大だと考え、表紙もその路線で福島あいかさんにスタイリングをしてもらいました。夜の新宿を舞台にリアルな線を表現できたと思います。