登山ユーチューバー・もじゃまる夫妻　伊豆の店に全国から客が集まる理由

ユーチューブチャンネル「山好き移住者の日記 by もじゃまる」は、登録者7万人を抱える、登山好きの間では知られた存在だ。運営するのは、国内大手アウトドアブランド「モンベル（MONT-BELL）のショップ店員として働いていた“もじゃまる”こと山崎和可奈・翔悟夫妻。2020年に独立して静岡・伊豆に移住し、間もなくユーチューバーとしての活動を開始。翌年5月にはアウトドア用品専門店「サンカクスタンド」をオープンした。

移住先に伊豆を選んだのは、自然が豊かであること、名峰が多い長野や山梨へのアクセスに優れていることが決め手だった。コロナ禍にも関わらず移住を決めたものの、「ちょっとした手違いもあって、（移住して）しばらくは家がなかった（笑）」（和可奈さん）と明かす。「誰も知り合いがいない、何もすることがない。そんな状況で、お金もかからず自分の山の知識を生かせることを考え、ユーチューブを始めた」。

チャンネルを開設して約3年の間に、着実にファンを増やしてきた。地元の伊豆はもちろん全国津々浦々、夏山縦走から積雪期登山、バックカントリースノーボードまで、さまざまな登山記録をアップしている。投稿した動画数は、23年6月時点で約270本。山を登ってみての醍醐味、注意点などを押さえた実践的な内容だ。登山で使ったギアのレビューは「日帰り登山で必要なもの10点」「登山女子にオススメしたい登山用ブラ」といったコンテンツにまとめている。

「サンカクスタンド」の客層は、今はユーチューブの内容と親和性のあるエントリーユーザーや、初心者からステップアップを目指す登山好きが多い。天城山をはじめとした伊豆のトレイルを楽しむのに合わせて、東京、神奈川など各地から訪れる客もいる。二人が実際に使ってみて「本当にいいと思ったもの」（翔悟さん）を取り扱っているから、品ぞろえは説得力がありユニークだ。山好きの間ではよく知られる日本発アウトドアブランド「ティートンブロス（TETON BROS.）」のウエアや「アルトラ（ALTRA）」のシューズなどとともに、高知の登山店のオリジナルブランド「一二の洋品店」の“モンペズボン”（1万4960円）のようなニッチ商品が人気となっている。