「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事はWWDJAPAN 2023年6月26日号からの抜粋です)
齋藤薫/美容ジャーナリスト
齋藤薫(さいとう・かおる):女性誌編集者を経て独立。女性誌を中心に多数のエッセー連載を持つほか、美容記事の企画や化粧品の開発、アドバイザーなど広く活躍する
化粧品には限界があると、皆気づいている。肌に塗るものがどこまで進化しようと、それ以上のものにはなれないという意味での限界が。有効成分がいかに進化しようと、成分を届けるもの以上にはなれないという限界が。しかしその限界点をなかったことにする化粧品の未来形が、にわかに浮上してきた。化粧品の“電子化”である。といっても、美容機器の力を借りると言う意味ではない。前回のコラムで、AI美容機器が、化粧品とともに使うことで効果を最大化することを書いたけれど、これとは全く別の話。化粧品が単独で、電子化していくという話なのだ。
しかも、“皮肉にも”というべきか、当然の成り行きというべきか、今その急先鋒となっているのが、なんとあの“デンキバリブラシ”。20万円を超える機器が飛ぶように売れている異例の大成功をおさめた美容機器メーカーだったりする。話がややこしくなってしまうけれど、“デンキバリブラシ”はあくまでも美容機器だが、これを生み出したエレクトロンというメーカーが、「じゃあ今度は、自分たちにしか作れない化粧品を作ろう」ということで取り組んだのが、見た目には普通の化粧品と変わらない、“電子化された化粧品”だったのだ。
市場にはすでにいくつかの、電子水を使った化粧品が登場しているが、エレクトロンの開発した「電気エネルギーを帯電させた化粧水」、“タイトニングミスト”がまずすごい。原材料として使う水を基本“活性電子水”にすることで、活性酸素を瞬時に還元し、成分の浸透も劇的に高めるマイナス電子を大量に帯電させることに成功。単なるミストとして肌に吹きかけるだけで、顔がリフトアップするような効果をもたらすことで驚きをもたらしている。
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