三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、今年で創業350周年を迎えた三越日本橋本店の事業説明会を開き、登壇した丸井良太店長は「街のポテンシャルは非常に高い」と述べた。日本橋周辺の再開発、足元商圏の中央区や千代田区の人口増も追い風になり、顧客の若返りが進む。グループ全体の経営方針である「マスから個へ」のマーケティング強化によってロイヤリティーの高い顧客を増やす考えだ。
同店の23年3月期の売上高は1384億円で、コロナ前の20年3月期の1330億円を上回った。コロナの収束を受けて24年3月期は1403億円を見込む。
日本橋本店の特徴はカード、アプリ、外商といった識別顧客の割合が65%と高いこと。コロナ前に比べて11ポイント上昇した。その識別顧客のうち年間100万円以上買い上げる人の割合は53%に達する。外商など関係が深い上顧客に支えられる。他店に比べてシニアの顧客が多いと言われてきたが、コロナ前に比べて30〜50代の識別顧客の割合が12ポイント増えているという。20年春までの大型改装でラグジュアリーブランドや時計・宝飾品、美術品などの品ぞろえを厚くしたことも奏功した。
三越伊勢丹HDは、デジタルを活用して識別顧客の好みに合わせたマーケティングを全社的に推進している。もともと外商の基盤が強かった日本橋本店では、特に大きな成果を得ることに成功しており、丸井本店長も「関係強化と若返りが進んでいる」と自信を深める。