資生堂は7月1日、メンズメイクの講習プログラム「メンズビューティーアップコース アドバンス編」の提供を開始した。企業や学校、地方自治体などを対象に、化粧品の使い方などをレクチャーする「資生堂ライフクオリティー ビューティーセミナー」の新プログラムに組み込む。
プログラムは同社トップヘアメイクアップアーティストの原田忠が監修した。リアルもしくはオンラインで実施し、参加人数は1回あたり10〜30人、講習時間は60〜120分。学生やビジネスマンを主なターゲットに、洗顔後の化粧水、乳液といったスキンケアの基本に加え、BBクリームやコンシーラーの塗り方、アイブロウやアイライナーを使った目眉の整え方を教える。既存の「ベーシック編」がニオイケアやスーツの着こなしといった身だしなみに重点を置くのに対し、アドバンス編はメイクアップやヘアスタイリングなど「自己プロデュース」(同社)に踏み込んだ。
男性の9割が「化粧したい」
講座を新設した背景には、男性の化粧に対する意識の変化がある。同社が20〜50代の男性を対象に行った調査では、「メイクをしてみたい」と答えた人の割合が約9割に上った。「リモート会議で自分の顔を意識する男性が増えたこと」「K-POPアーティストなどメイクをする男性が身近になってきたこと」を要因に挙げる。ただ、実際にメイクをしている人は約1割にとどまった。その理由として「メイクのやり方がわからない」「教わる場所がない」といった内容が多数を占めたため、処方箋となるセミナープログラムを開発した。
セミナーでは同社のメンズ化粧品「シセイドウ メン(SHISEIDO MEN)」を使用するが、原則販売はしない。同社美容戦略部ライフクオリティー推進グループの岩澤翔氏は「目先のマーケティング目的ではなく、男性の自己表現の可能性を広げるために地道に啓蒙していきたい」とする。
同社は社会人になる女性に向けて化粧を教える「整容講座」を1949年にスタート。87年には参加対象を男性にも広げた。その後、講座名を「資生堂ライフクオリティー ビューティーセミナー」に改称。現在はセミナーなどを中心に化粧を通じた社会貢献活動を職務とする「資生堂ソーシャルビューティーパートナー」約40人を全国に配置している。