コロナ禍で美容医療を試す人が増えたと耳にします。実際に私の周りでもダーマペンやハイフ、レーザーでシミ取りなどをしています。「美容医療はファッションだ」というキャッチコピーで強烈なインパクトを残すテレビCMも放映され、より美容医療が身近な存在になったと実感しています。矢野経済研究所によると美容医療の市場規模は、2020年は前年を下回ったものの、21年には回復し前年比1.8%増の3990億円だったといいます。
先日、美容医療クリニックのPR担当者と話す機会がありました。表参道にあるクリニックでは、ハイフが人気とのこと。それと糸リフトも毎日予約が入るほど好評だそうです。糸リフトは40〜60代の女性が多く、ハイフなどを経験してきた“ベテラン選手”が好むといいます。このクリニックは医師の腕が良いため、麻酔も含め30分程度で施術が終わり、こめかみから糸を入れるため跡が目立たなくダウンタイムもほぼないそうです。1年に1回のメンテナンスで、リフトアップを維持できるとして支持を集めているとのことでした。
美容医療はこの10年間で、消費者のマインドの変化もそうですが、道具や技術の進化が目覚ましいといいます。糸リフトについても以前は技術の高い医師が手掛けないと仕上がりに大きな差がありましたが、糸や道具が改良されたことで技術が高くない医師でも美しい仕上がりになるそうです。そのほか、二重や豊胸などの技術に特化した若い医師を抱え込むクリニックが増え、それがクリニックの拡大につながっているようです。
その背景には医学部の学費の高さにあるといいます。私立の医学部は卒業までに約2000〜5000万円かかり、奨学金で通う人も少なくありません。医師になった時点で数千万円の借金があると同じなわけです。それを少しでも早く返済したいため、経験の浅い医師でもある程度稼ぎを得られる美容医療の医師になるそうです。しかも、ある一つの技術に特化させることで他院では通用せず、抱え込みに成功するという図が成り立っているとのこと。
顔の造形を変えるほどの施術を希望する際は、即決するのではなく、本当に必要か考える時間を設けたほうがよいそうです。即決を求めるクリニックは信用せずに、セカンドオピニオンを探すべきだといいます。自身の美容整形の課程を赤裸々にするユーチューバーも多く、ハードルが下がっている美容医療ですが、気軽に取り入れる前に慎重を期すべきなのだと改めて感じています。
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