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原宿に「令和のセントラルアパート」【エディターズレター:MARKET VIEW】

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※この記事は2023年07月07日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

先日、原宿のある地主さんから聞いた言葉が印象に残りました。その方は、生まれも育ちもずっと原宿で現在80歳近くです。

「新宿と渋谷に挟まれた原宿は、昔は本当に何もなかった。(1964年の)東京オリンピックの前後から夢と野心を持った若者が集まるようになり、彼らの熱意にほだされて我々の親の世代の住民が軒先を安く貸したんだよ。そこから色々な流行が生まれて、ファッションの街になった。新宿や渋谷が大資本の百貨店などによって発展してきたのとは違い、原宿は草の根の街なんです」

1960〜70年代のセントラルアパート(現在の東急プラザ表参道原宿の場所)が新進気鋭のデザイナーや文化人のサロンだった話は語り草です。表参道や明治通りといった目抜き通りの家賃がだいぶ上昇してしまった90年代以降は、若者たちは活躍の場を裏通りに移します。いわゆる裏原宿ブームがここから始まります。ただ、近年は裏原宿の家賃も上がってしまい、現実には資本力のある大手企業しか店舗を構えられない。有名ブランドや大手チェーンばかりになってしまうと、新しい流行を発信する力が衰えてしまいます。原宿は新宿、渋谷、池袋と同質化してしまったという人さえいます。

ずっと原宿が担ってきた若い才能や新しい流行を育むインキュベートの機能は、下北沢や代々木上原あたりに移っているのかもしれません。近年、若手クリエーターの店舗やアトリエが増えている印象です。

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