「クロエ(CHLOE)」は、ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)=クリエイティブ・ディレクターの退任を正式に認めた。彼女の退任については6月に噂が浮上していた。ハースト=クリエイティブ・ディレクターによる最後のコレクションは、2024年春夏パリ・ファッション・ウイーク期間中の9月28日に発表する。
メゾンを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)は、後任について言及していないが、すでにリサーチを開始しているようだ。
「クロエ」はガブリエラの退任について、「メゾンがミッション・ドリブンな会社になるために欠かせない、中心的な役割を担ってくれた」と評価。3年のガブリエラの功績に感謝の意を示している。同社のファッション&アクセサリー部門を率いるフィリップ・フォルトゥナト(Philippe Fortunato)最高経営責任者(CEO)は、「ガブリエラと彼女のチームによる、未来の成長に不可欠な礎を築いた貢献とファッション業界におけるサステナビリティ活動に感謝したい」とのコメントを発表している。
加えてクロエのリカルド・ベッリーニ(Riccardo Bellini)CEOも、「彼女のエネルギーとダイナミックなクリエイティビティは、期間中の著しい成長に繋がった。メゾンの新たな一章を記したことだろう。責任ある未来に向けた意味ある進化を担ってくれたことに感謝している」という。
ハースト=クリエイティブ・ディレクターはウルグアイ生まれで、ファッションデザインは独学で身につけた。父が経営する牧場の経営を引き継いだ後、ニューヨークを拠点に自身のブランド「ガブリエラ ハースト」を設立し、15-16年秋冬シーズンにデビュー。同牧場で生産するメリノウールをはじめとする上質な素材を用いて、タイムレス、クオリティー、サステナビリティの原則に基づいたラグジュアリーなウエアやバッグなどのアクセサリーを提案している。
ガブリエラの在任中、世界的には「クロエ」の売り上げは6割増加したと言われているが、日本ではサステナブルな素材の利用による価格の高騰や、ガブリエラの力強いデザインが、甘いムードを好んだかつてのファンには受け入れ難いケースもあった。一方、最近は復調傾向だったとも言われている。