モノが素晴らしくても、「届ける」にまで思いを馳せないと売れない時代。「マクアケ(MAKUAKE)」で多数の応援購入という形で支持されるプロジェクトは、モノづくりからコミュニケーションに至るまでの設計の何が違うのか?この連載では、モノづくり企業に伴走するキュレーターが成功体験を伝授。時にモノづくり企業が苦手とする、訴求ポイントの整理からターゲットの設定、トップ画像やキャッチコピーに至るまでのコミュニケーション上の工夫を伝授してもらう。今回は、エアコンなどの屋内の空調事業を手掛ける富士通ゼネラルによる、屋外で使う真夏でも軽やかに通勤できるパックパックのお話。
今回お話を伺ったのは、富士通ゼネラルです。同社は「共に未来を生きる」という企業理念のもと、1936年の創業から快適で安全・安心な社会の実現に向けて、新たな価値の創出に取り組んでいます。主力事業である空調機事業では“いのちに変わる、空気をつくること”を目的に、エアコンの製造・販売を通じて快適な空間を提供。その空間で過ごす人たちのコンディションの維持に貢献しています。
時代の変化に合わせ、最先端の技術を取り入れたエアコンの製造・販売に取り組んできた富士通ゼネラルですが、一方で「室外における快適の提供については、まだまだチャレンジできる余地がある」という思いを持っていました。その思いを形にすべく、同社はエアコンの開発で培った技術を生かし、保冷剤から冷たい熱を取り出し、水を使ってその冷たさをシートへと循環させる「蓄冷熱交換技術」を用いたバッグパックを開発。2時間の稼働時間の中で、温度変化をつけることで「涼しさ」が続く仕組みを搭載しています。
この商品は、ある1人の社員のアイデアから生まれ、社内の新規事業創出プログラムを通じて開発が進みました。開発においては、マクアケのMIS(Makuake Incubation Studio)のメンバーが商品プロデュースを全面サポート。ミズノが保有する「荷重分散技術」も取り入れ、真夏でも軽やかに通勤できるパックパックが完成しました。
訴求ポイントの整理
実行者の思い
2020年の夏、駅からオフィスまで徒歩20分の道のりをバックパックで通勤している1人の男性社員(30代)が、「真夏の通勤で、背中の汗を不快に感じている」という実体験から、バックパック開発のアイデアを提案しました。“移動を快適に”することで、体力面、印象面で不安を抱えるビジネスパーソンのコンディションを支え、朝から最良のパフォーマンスを発揮することに貢献したい──。そんな思いから、背中の汗による不快感や、汗ジミによる印象面への不安を解消する、冷却機能付きバックパックを開発しました。
ユーザー分析
コロナ禍も落ち着いて出社の頻度が増えていることもあり、夏場の通勤時には体力や見た目に不安を抱えているビジネスパーソンが多いのではないか?そう考え、徒歩や自転車で通勤をするビジネスパーソンをターゲットに設定しました。
キャッチコピーやトップ画像の工夫
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