世界的なテキスタイル見本市「第37回 ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」が現地時間の7月11日に開幕した。562社のテキスタイルメーカーや服飾資材メーカーなどが出展し、2024-25年秋冬シーズンに向けた製品を提案した。1日目の来場者数は、前年より17%増えた。なかでも中国からの来場者数は前年の7倍に増えたという。
今季はサステナビリティへの取り組みにあらためて力を入れる。各社からトレンドテーマに合わせた生地を集積するメインブースでは、オーガニックコットンやリサイクル素材などサステナブルな素材に限定して集め、サステナビリティを定義する5つの柱として、「気候危機へのアクション」「化学薬品の安全性」「生物多様性保全」「循環型経済」「社会正義」のラベルを付けて紹介した。そして同ブースの隣には、バイヤー向けにサステナブル素材に特化した案内ブースも設けた。
また、新たな試みとしてメタバースブースを設置。PwC イタリアとの協業で実現したもので、ブース内で専用のゴーグルを装着すると、トレンドテーマの世界観をメタバース空間内で体験できる。会期中以外にも公式サイトからアクセス可能だ。
規制が進むEU 「現実的かどうか疑問」という指摘も
開幕式に登壇したアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ(Alessandro Barberis Canonico)=ミラノ・ウニカ代表は、「2022年のイタリアンテキスタイル市場は特に好調だった。重衣料やドレス、ジャケットなど、私たちの強みであるエレガントかつコンフォートな生地へのニーズが高まっているからだ。クラシックかつ環境負荷が低く、長く着られるメイド・イン・イタリーの価値を、同展を通してあらためて伝えたい」と話した。
EUでは、サステナビリティに関する法規制が進む。登壇したセルジオ・タンボリーニ(Sergio Tamborini)=システマ・モーダ・イタリア(Sistema Moda Italia)代表は、「高級品や大量生産品などそれぞれのカテゴリーにあったサステナビリティの推進の仕方を話し合うべきだ。現在進んでいる規制は、現実的であるかどうかは疑問である。それらの規制が輸入品には適応されないことももっと議論すべきだと思う」と指摘すると、会場から拍手が起こった。
カノニコ会長は、サステナビリティへの投資の重要性と業界全体での協力体制が必須であると繰り返し話し、品質の高いサステナブルな素材を生み出す人手不足の深刻さについても触れた。