アパレル余剰在庫買取の大手ショーイチ(大阪、山本昌一社長)が、近年衣料品のリサイクル事業にも注力していることは、「WWDJAPAN.com」でも既に何度か伝えてきた。山本社長や社員が衣料品リサイクル事業について取引検討中の企業に説明すると、特に注目を集めるポイントがあるという。それは、ショーイチがリサイクル事業の中で、障がいや疾患がある人を支援する就労継続支援事業所(以下、就労支援施設)と協働しているという点だ。障がいや疾患がある人、クライアント、そしてショーイチと、三方にとって利のある仕組みを構築している点が支持され、取引につながるケースが増えている。
障がいのある約450人に仕事を提供
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衣料品リサイクルでは、衣料品を解体しタグやファスナー、ボタンなどを取り外す必要がある。想像以上に手間がかかるその工程で、ショーイチは就労支援施設と協働。ショーイチの自社グループで運営している5つの施設を中心に、計20の施設と取り組んでいる。これにより、障がいや疾患がある人約450人が仕事を得ているという。ショーイチでは、衣料品やインテリアファブリック、雑貨、化粧品といったカテゴリーの異なる在庫を一度にまとめて引き取ってリサイクルにつなげており、その点もクライアントに喜ばれているが、それも就労支援施設と組み、在庫の再仕分けをショーイチ内で行っているからこそ可能となっている。
「彼らの力なしには
リサイクル事業は成立しない」
「以前縁があって、就労支援施設でボランティアをしていた。その際、『障がい者は働く機会になかなか恵まれない』という悩みをよく聞いた」と山本社長。「複雑な作業であっても、適切に分けて丁寧に指導すれば障がいのある人も非常に頼りになるという実感が自分にはあっただけに、憤りを感じた」と続ける。そこで、ショーイチとして彼らに働く機会を提供できないかと模索し、就労支援施設と協働する今の形にたどり着いた。「彼らの力なしではショーイチのリサイクル事業は成り立たないし、今後もより多くの仕事の機会を彼らに提供したい。そのためにも、クライアントを増やしたい」。
「達成感を得て、
心も体も安定し始めた」
実際に、ショーイチのリサイクル事業に携わっている就労支援施設通所者は、仕事についてどう感じているのか。「体調不良が続いて休みがちだが、体調に合わせて作業を出してくれるので助かる」(40代女性)、「最初は全くできなかったハサミを使うタグカットも、今では得意なことに変えることができた」(30代男性)、「職員さんに丁寧に教えてもらって、少しずつ確実に作業ができるようになってきた。体力的にも精神的にも安定し始めた」(30代男性)。これらはショーイチが実施した通所者へのアンケートで集まった声だ。ショーイチのリサイクル事業が、インクルーシブな社会実現への一助になっていることが感じられる。
アパレルの“ある”と
障がい者の“ない”をマッチング
通常、余剰在庫は産業廃棄物として扱われるため、リサイクルする場合はブランドや小売店側がリサイクル事業者に対して料金を払う。しかしショーイチは、自治体から助成金を得て自社グループで運営している就労支援施設の仕事として、クライアントからリサイクル原料となる在庫を“買い取る”形になるため、クライアントにとってはショーイチと組むと在庫廃棄コストが減るというメリットもある。「アパレル企業側の“(余剰在庫が)ある”と、障がい者側の“(仕事が)ない”を、当社をハブに今後もうまくマッチングさせていきたい」と山本社長は話す。
ショーイチ
050-3151-5247
目指すは「アパレル廃棄ゼロ」