サステナビリティ

アパレルリサイクルのショーイチ、孤児や避難民支援にも注力 「自分たちの得意分野で社会の役に立ちたい」

アパレルの余剰在庫買い取り大手のショーイチ(大阪、山本昌一社長)は、近年衣料品のリサイクル事業にも注力している。ショーイチが国内産地の反毛業者などと組んで進めているリサイクルの仕組みは、協業相手やその品質に対して厳しい基準を持つラグジュアリーブランドにもじわじわと支持を広げている。そんなショーイチは2019年から、「TASUKEAI 0 PROJECT(以下、たすけあいプロジェクト)」という名称で、社会貢献活動にも取り組んでいる。

個人的なストーリーが貢献活動の原点

「たすけあいプロジェクト」は、ショーイチが企業から衣料品を買い取り、衣料品や現金を海外で子どもたちや戦争避難民の支援活動を行っているNPOやNGOに寄付するというもの。カンボジアの孤児院を支援する活動からスタートし、22年のロシアによるウクライナ侵攻以降は、ウクライナにも支援物資を送っている。

山本社長が「たすけあいプロジェクト」をスタートしたのは、非常にプライベートな理由から。「離婚を経験し、子どもと以前のようには会えなくなって、とても気分が落ち込んだ時期がある。母親に『ボランティアをしてみたら?』と提案され、自宅そばの養護施設でボランティアをさせてもらって寄付をしたら、少し心が軽くなった気がした。それが活動の原点」と山本社長は振り返る。「会社がある程度大きくなって、何らかの社会貢献をしたいとも考えていた。カンボジアを旅した際に孤児院を支援している現地の団体に出合ったこともあり、子どもたちに服を送る活動から始めた。余剰在庫の買い取りやリサイクルを本業としているわれわれは、服ならば比較的手配がしやすい。それを生かそうと考えた。服を送ることに加えて、今は日本語学校の先生も孤児院に派遣している」。

「支援物資の仕分けができるのは
当社ぐらい」

自分たちができること、得意なことで社会に貢献するというあり方を山本社長は意識しているという。ウクライナへの支援では、多様な支援物資が大量に集まって、それをどう仕分けするかに困っていたウクライナ大使館の声を受け、ショーイチが倉庫を借り、フォークリフトを使い物資の仕分けを行った。「こうした物資の仕分けを手際よく行えるのは、うちのような企業しかない。自分たちが負担なく続けられることの中で、『何が必要ですか?』と相手に支援内容を聞くようにしている」。

仕分け作業を行うだけでなく、ウクライナにはショーイチとして衣料品支援も実施。関西ファッション連合と共同の枠組みで、ウクライナの国内避難民などに22〜23年にかけて計6万着を送った。

近鉄百貨店も活動に共感
店頭で衣料品を回収

「たすけあいプロジェクト」に共感し、ショーイチと組んで社会貢献活動を始めた企業もある。近鉄百貨店は21年8月から、あべのハルカス近鉄本店を含む全9店の店頭に、年2回(1〜4月、8〜9月)回収ボックスを設置。客から不要な衣料品を回収し、ショーイチを通して海外への支援に充てている。1回あたり最大10着の持ち込みが可能で、1回の持ち込みにつき食料品売り場で使える100円のクーポンを配布している。使い古されて支援物資には適さない衣料品は、ショーイチ経由で資材などにリサイクルする。

「店頭回収を継続していることで、リピーターとして何度も持ち込んでくださるお客さまもいる。回収できるアイテムとできないアイテムとがあると店頭スタッフがその場で判断せねばならず、負担が大きくなってしまう。その点、ショーイチは名前の刺しゅうが入った制服なども引き取ってくれるため、取り組みがしやすい」と、近鉄百貨店 本店 営業政策統括部 営業政策部 森下彩絵係長。近鉄百貨店として、24年は1〜4、8、9月の計6カ月間で、1万7114着を店頭で回収し、支援やリサイクルに充てることになったという。

「子どもたちに貢献がしたい」

「社会貢献活動をするときに、一般的に大きくは3つの理由があると思う」と山本社長。いわく、1つ目はビジネスとして、2つ目はイメージアップのために、3つ目が山本社長がボランティアを始めたきっかけのような個人的なストーリーだ。「僕は子どもたちに貢献がしたいという気持ちが強い。それで『たすけあいプロジェクト』を行っているが、どうせやるなら知ってもらいたいと会社のサイトで告知もしている。イメージアップのためにやっていると言われたらそうかもしれないが、告知もしていることで近鉄百貨店さんのように賛同してくださる人たちもいる。本業の在庫買い取りやリサイクル事業と同様に、社会貢献活動も今後も力を注いでいく」と話す。

問い合わせ先
ショーイチ
050-3151-5247