ファーストリテイリングは、「ユニクロ(UNIQLO)」の2023-24年秋冬物で、昨秋冬、今春夏に続き一部商品を値上げする。値上げする商品は「ごくごく限定的」(岡﨑健 取締役グループ上席執行役員CFO)となるが、「中長期的に見て調達コストはさらに上がる。引き続き、1品、1品の価格、素材、デザイン、機能などのバランスの見直しを行い、価格を上げても価値を認めていただけるものは値上げしていく」。
「価値と価格のバランスが取れているものは値上げしても売れているし、そのバランスを欠いているものは価格を据え置いても売れていない」と、昨秋冬以降を振り返って手応えを語る。「お客さまは価格に対して非常にシビア。特に日本は(物価が全般的に上昇している国と比べて)価格に厳しい」と見ている。
7月13日に発表した同社の2022年9月〜23年5月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比21.4%増の2兆1435億円、営業利益が同21.9%増の3305億円と、共に同期間で過去最高となった。海外ユニクロ事業、特にコロナ禍から回復した中国本土、香港、台湾事業が大幅な増収増益となり貢献した。「中国はコロナ禍で苦しい中でもマーティング投資、人材採用を続けてきたことで、需要を取り込むことができた」。
国内ユニクロ事業は9カ月間の累計も、第3四半期の3カ月間(3〜5月)も、増収ながら減益となった。為替が想定よりも円安となったことなどが響いた。3月に国内社員の給与を最大40%引き上げており、人件費は15%増を織り込んでいる。「賃金引き上げが長期的に見て生産性改善に貢献する。それが現段階ではまだ途上であり、店舗オペレーションの無駄をなくして、空いた時間をお客さま対応に充てて効率性をより高めていく」。
好調を受けて、23年8月期の業績予想を4月に続き上方修正した。売上収益は同18.6%増の2兆7300億円、営業利益は同24.4%増の3700億円を見込む。