イタリア・ミラノで開催された「第37回 ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」。日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)と日本貿易振興機構(JETRO)が共催する日本ブース「ジャパン・オブザーバトリー(JAPAN OBSERVATORY、以下JOB)」には、全30社が出展した。うち6社が初出展。来年はJOB設立から10年を迎える。10周年記念のプレイベントとして、ブース入り口では来場者に獺祭を振る舞った。
1887年創業の長谷虎紡績が初の海外出展
スパイバーの人工タンパク質素材などの革新素材を紡績する長谷虎紡績は、創業から136年目にして初めての海外出展となった。長谷享治社長は、「現在の私たちの売り上げは100%国内だが、将来を見据えた時に海外進出は不可欠だ。得意の機能繊維がヨーロッパでどのように受け入れられるか反応を見たいと思った」と出展理由について語った。今回は、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」などが活用する遠赤外線作用の機能素材「光電子」と、人工タンパク質素材「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」を打ち出した。長谷社長は、腰を据えて海外市場の開拓に取り組むといい、「今後は『ブリュード・プロテイン』と『光電子』の掛け合わせなど、サステナブルと機能性を併せ持つ唯一無二の素材などを仕掛けていきたい」と意気込む。
V&Aジャパンは生分解性ポリエステルを打ち出す
生分解性ポリエステル“クラフトエボ リーテ(CRAFTEVO RETE)”を開発したV&Aジャパンも初出展した。宮本淳代表取締役会長は、「これまでの顧客はスポーツメーカーが中心だったが、『ミラノ・ウニカ』を機にファッション企業の開拓に力を入れたい」と話す。来場者の生分解性ポリエステルへの関心は高く、和紙糸や豊島が開発した食品廃棄物由来の染料「フードテキスタイル」との掛け合わせ、デニム生地などが特に人気だった。
柴谷は若手社員がバイヤーを呼び込む
同じく初出展した柴谷は、20代の若手社員が中心となり接客し手作りのポップなどを制作してバイヤーを呼び込んだ。天日干しシリーズや「フードテキスタイル」を用いた生地をはじめとするサステナブル商材に手応えを感じたという。
古茂田博JFW事務局長は、「『ミラノ・ウニカ』のような大規模展示会の醍醐味は、偶然ブースを訪れた新規のバイヤーに提案できることだろう。そういう意味で、若手が集まる柴谷は積極的に声をかけ勢いがある。(アレッサンドロ・バルベリス・)カノニコ会長はJOBについて『イタリアと同じ目線で優れたモノづくりをしながらも、私たちにはない良いモノを見せてくれる。来場するバイヤーたちもそれを認めている』と評価してくれている。『ミラノ・ウニカ』全体で、ウィメンズやカジュアルの分野にも広げようとしているなか、日本の多様な産地を強みとして引き続きアピールしたい」とコメントした。