米サンフランシスコ発のスタートアップ、ルビ(RUBI)とコペンハーゲンのファッションブランド「ガニー(GANNI)」は6月27日、コペンハーゲンで開催されたグローバル・ファッション・サミットでCO2を回収して作られたセルロース繊維を発表した。今回発表されたのは、CO2から作られたリヨセル20%とセルロース80%の混紡糸。
ルビは回収したCO2を、酵素を活用した生化学的プロセス(セルフリー合成バイオ技術)を通じてセルロースに変換し、セルロースからリヨセル糸を作る技術を開発。現在、特許出願中だ。樹木が光合成で成長する様子に着想を得たという。同社はファッション産業向けの繊維製品開発に取り組むが、その技術を建材や梱包材、食品、医療、その他の先端素材など、製造業のあらゆる分野に応用することを目指す。現在の資金調達額はクランチベースによると1320万ドル(約18億2000万円)。セルフリー合成バイオ技術は、経済産業省 産業構造審議会 商務流通情報分科会 第11回バイオ小委員会で発表された資料によるとスケール化が課題とされている。
ルビとガニーは今年2月、炭素を原料とする糸から衣服を作ることを目的にパートナーシップを発表。ガニーは革新的な生地開発を支援する「ファブリック・オブ・ザ・フューチャー(Fabrics of the Future)」プログラムを発足しており、今回の取り組みはその一環。現在同プログラムで30種類の生地を開発しており、25年までにコレクションの10%に開発した素材を使用することを目標にしている。
ガニーのニコライ・レフストラップ(Nicolaj Reffstrup)創業者は「究極の目標は、真の意味で気候中立な製品を作ることだ。ルビの炭素隔離技術、すなわち大気中から炭素を取り出し、それを素材にすることによって、私たちはその目標に一歩近づいた。こうした生地の革新は、ファッションを脱炭素化するうえで重要な役割を果たすだろう。そのためには、ブランドはリスクを取ってイノベーションに投資する必要がある。ルビのような革新的なパートナーと協力することで、未来がどのようなものになるのか、楽観的に考えることができる」とコメントを発表した。