セブン&アイ・ホールディングスによる子会社そごう・西武の売却を巡り、ストライキの検討に入ったそごう・西武労働組合の寺岡泰博委員長は19日、「WWDJAPAN」の取材に応じた。寺岡氏は「(セブン&アイ側は)『雇用を守る』『事業を継続する』といった主張を繰り返すが、具体的な根拠が示されないまま1年半が過ぎた」と不信感を募らせ、「スト権確立の賛同を得て、事業計画や雇用についての情報開示や事前協議の場を求める」と語った。組合員約4000人を対象にスト権の確立に向けた投票を22日まで行なっている最中で、7〜8割の組合員はすでに投票を終えたという。開票結果は25日に発表される。
当事者の従業員に説明が全くない
そごう・西武を巡っては、昨年11月にセブン&アイが米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループへの売却を決定。そごう・西武労働組合は、雇用や事業継続についてセブン&アイ側に団体交渉を求めてきたが、セブン側は雇用主ではないことを理由に応じてこなかった。しかし、雇用主であるそごう・西武も売却の契約当事者でないため、雇用や事業計画について話せないという立場をとる。
この1年半で労組とセブンの井阪隆一社長が話す機会は6回ほどあったが、具体的な事業計画が示されることはなく、現在、大きな焦点になっている西武池袋本店の大部分(北館から中央館にかけての地下1階〜地上7階)にヨドバシカメラが出店する改装案についても報道で知らされたと寺岡氏は述べる。「セブン&アイ側は契約上の守秘義務があるため労組や従業員には話せないとしながら、報道によると地元の豊島区長に(6月に)井阪社長らが事業計画を説明に出向いている。なぜ働く当事者の私たちには何の説明もないままのか」
寺岡氏は今回のスト検討を説明するため、北は秋田から西は広島まで全国の店舗を巡った。「現場の社員は自分の雇用もさることながら、お客さまや取引先への対応に苦慮していた。お客さまからは『いずれハウスカードは使えなくなるのか』『時計をメンテナンスに出しても大丈夫なのか』『お中元は来年も頼めるのか』といった声、取引先からは『今そごうや西武に出店しても大丈夫なのか』『秋冬の販促は予定通りできるのか』といった問い合わせが相次いでいる。自信を持って答えられないのはつらい」
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