循環型ファッション推進の一環として、リペアやリメークのサービスに乗り出すアパレル関連企業が増えている。「ユニクロ(UNIQLO)」「ザラ(ZARA)」「H&M」といったグローバルSPAの動きが目立っているが、ギアを扱うアウトドアメーカーは、SDGsが叫ばれるようになるはるか以前からリペアを受け付けているケースが多い。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE以下、TNF)」を手掛けるゴールドウインも、1989年から自社製品のリペアを受け付けているが、これまで創業の地、富山の本店に製品を集めて行っていたリペアを、今後は一部の店頭でも行っていくという。富山で同社のリペアサービスを取材した。
ゴールドウイン富山本店があるのは、JR富山駅から高速道路を使って車で45分ほどの小矢部市。田んぼの緑が鮮やかな幹線道路沿いに、建屋2棟からなる社屋を構える。本社機能は東京・松濤に置き、商品企画も松濤で行っているが、アウトドアやスポーツのメーカーとして重要な素材開発などのR&Dは、富山本店が担う。2017年に、奥の建屋1階を倉庫から“ゴールドウイン テック・ラボ”に変え、スポーツウエアのR&Dに必須の人工気象室なども設置。外部研究施設に依頼していたデータ収集を自社内で行う仕組みにした。
“テック・ラボ”がある建屋の2、3階は生産センターで、縫製や刺しゅう、プリントの工場。同社唯一の自社工場であるここは、量産ではなく、主にサンプルやアスリート用製品を手掛ける。取材時は、9月に開幕するラグビーW杯の日本代表選手団が着る「カンタベリー」のジャージーをまさに生産中。今回の取材の舞台であるリペアセンターも、2階縫製工場の一角にある。
2階のうち、目視で6分の1ほどのスペースがリペアセンターだ。ゴールドウイン直営店や卸先に持ち込まれたリペア依頼品がここに集まる。その数、23年3月期は前期比15%増の約2万点。「20年末からウェブでの受け付けも開始し、お客さまから直接リペアセンターに送れるようになった。それで依頼が大きく増えた」と鏡逹朗 商品本部生産技術部生産2グループマネージャー。
今後3年で2〜3店に店頭リペア拡大
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