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ともさかりえが手掛ける「マイ ウィークネス」 「役者と服作りは全く違うから楽しい」

俳優のともさかりえさんは、2021年春夏からウィメンズブランドの「マイ ウィークネス(MY WEAKNESS)」を手掛けている。「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」やウェブメディア「フイナム(HOUYHNHNM)」を運営する制作会社ライノが生産し、ECのみで販売してきたが、このほど初のポップアップイベントを東京・代官山で実施。合わせて、編集者やスタイリストなどに向けた展示会も初めて行った。「自分が今着たいもの、流行とは多少ズレていても、今の自分が好きだと思うもの」を作っているというともさかさんに、ブランド立ち上げの経緯やモノ作りについて聞いた。

WWD:昔からファッション誌にもよく登場してきたが、服を“着る側”ではなく、“作る側”になろうと思ったきっかけは何だったのか。

ともさかりえ(以下、ともさか):12才でデビューして以来、役者の仕事しかしてきませんでした。役者以外の何かを自分がするということも想像してこなかった。でも、コロナ禍で撮影が全て止まって、今後どうなるか全く分からないとなったときに、「やりたいことを形にしよう」と自然に思ったんです。今はSNSで発信もできるので、ECだけでやれるだけやってみよう、って。これまでもいろんなブランドさんとコラボレーションで商品を作る機会はありましたが、それはお膳立てしていただいた中から選択する、といった作り方でした。服作りについて右も左も分からない中で、生産背景も含めてどこに何を頼んでいくのか。素人がゼロから形にしようと思ったらこんなにも大変なのかと実感しました。私はパターンもひけないし、デザイン画も描けませんが、チームに作りたいものを伝えて形にしていっています。

「1本の糸から作るニットは本当に難しい」

WWD:アイテムはデニムを軸に、それに合わせるトップスやアウターで構成している。

ともさか:デニムがすごく好きなんです。デニムはワードローブの定番であると同時に時代性が色濃く反映されるアイテムで、常にアップデートしていく必要がある。2023-24年秋冬物では、ハイウエストでシルエットも太めなメンズライクなジーンズを企画しました。秋冬はニットも好きですが、ニットは生地をカットして縫製していく布帛アイテムとは違い、1本の糸を編んで形にしていくので本当に難しい。サンプルが想定の2倍の大きさになってしまったということも23-24年秋冬物で経験しました。使っている染料によっても糸の伸びが変わってくる。ニットは奥深くて想像がつかないことが多いアイテムです。アイテムごとにお願いする工場は変えていますが、生産は全て国内で行っています。

WWD:ブランド名の「マイ ウィークネス」は直訳すれば“弱点”。どんな思いを込めているのか。

ともさか:「好きすぎて、私はこれに弱い」「これにだけはどうしたってときめいてしまう」という意味です。それを多くの人にシェアできたら嬉しいなと思っています。作っていると、「こうした方が売れるかな」「このデザインの方が売りやすいかな」といったことを考えるときはありますが、(自分の好きを貫いて)ぶれずにやろうと決めています。チームのメンバーや工場の方など、多くの人が関わっているビジネスだということに責任も感じますが、でもそれ(売ること)だけになってしまうと面白くなくなってしまう。そこは軸をぶらさずに運営していこうと思っています。

「細く長く続けていきたい」

WWD:今回、初めて消費者向けのポップアップイベントや業界関係者向けの展示会を開いた。今後も定期的に行っていくのか。

ともさか:21年春夏の立ち上げ以来、卸販売もせずECのみで小さくブランド運営してきましたが、お客さまから「ボトムは試着して買いたい」というお声をいただいていました。それで23年春夏物のポップアップイベントを開くことにしました。せっかく会場を作り込むなら、23-24年秋冬物も見ていただこうと思って展示会も開きましたが、今後のことは特に何も決めていません。役者の仕事もあるので、それとのバランスも見つつ決めていきます。そのときの自分の気持ちにフィットする形でやっていきたい。必ずしも(年2回展示会を開くといった)ファッション業界の慣習に則る必要もないのかなと思っています。ブランドの規模をもっともっと大きくしていこうといったことも、あまり考えてはいません。EC主体で、ときにイベントも行いながら細く長く続けていけたらと思っています。

WWD:役者としてのキャリアはブランドにどう生かされているか。

ともさか:役者と服作りは全く違う時間軸のものです。全く違うから頭を切り替えて、面白がることができている。役者の仕事では、役によってはすてきであること、おしゃれであることが全く求められないこともあります。全然違う時間軸だからこそ、服作りを楽しめているんだと思う。

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