WWDJAPAN7月24日号は「百貨店特集」。ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品など高額品消費に沸く中、主役のはずの衣料品はコロナ禍からの回復が遅れていました。しかし百貨店のアパレルフロアにも、ようやく変化の兆しが見えてきています。今回の特集は「アパレルフロアに新風!」と銘打ち、新しい動きを見せる売り場やブランドを取材しました。後半は有力百貨店4社の社長インタビューから、今後の百貨店の未来像を探ります。
かつて百貨店全盛だった時代は、館が場所を貸し、ブランドが服を売る。それだけでたくさんの客を集められました。ただ専門店やECなどリアルにもデジタルにも競合が増えた今、それだけでビジネスを成り立たせることは難しくなっています。百貨店とメーカーやブランドが膝を突き合わせ、お互いの魅力を掛け合わせた売り場や商品を提案していく姿勢が必要です。本特集では、高島屋とジュンがスタートした新業態「モア サロン エ ロペ」やワールド・TSIと組んで売り場からサステナビリティを発信する大丸松坂屋、D2Cブランドの編集売り場に手応えをつかむ阪急阪神百貨店などの好事例を紹介しています。
売り場を刷新する
注目3ブランドを紹介
変わり映えのしなかった衣料品フロアでも、有力ブランドがモノ作りを大胆に軌道修正したり、ニューフェイスが出てきたりと、面白くなりそうな気配が出てきました。価格・デザインの既成概念の打破にチャレンジするワールドの「アンタイトル」や百貨店の上顧客を狙うマッシュスタイルラボの「フレイ アイディー」、有力百貨店のMD担当者がラブコールを送るビギの注目株「デパリエ」をピックアップします。
第二特集は2023年の新作ハイジュエリーにフォーカス。今年は花々や植物などボタニカルなモチーフ、海や山などの風景の美しさを捉えた作品が豊富に揃います。宝石のバリエーションと緻密な職人技が融合した、見事な作品の数々は必見です。
米「WWD」の翻訳記事からは、「エルメス」の“バーキン”の由来にもなった英国の俳優・シンガーのジェーン・バーキンの訃報や、「グッチ」のマルコ・ビッザーリ社長兼CEO退任について取り上げます。
付録の「WWDBEAUTY」は毎年恒例となっている「世界のビューティ企業ランキングTOP100」をお届けします。本特集は、米「WWD」が発行する「BEAUTY INC」が発表する同ランキングをベースに作成。企業が発表する決算報告を基に1〜12月のビューティ事業の売上高を「BEAUTY INC」がアナリストら専門家とともに独自に算出しています。
2022年度のランキングは、世界的なインフレや中国のゼロコロナ政策、ウクライナ危機などによる不安定な世界経済を示す、波乱の結果となりました。コロナ禍のトレンドであるフレグランスと、ダーマコスメを筆頭とするスキンケアは引き続き勢いを維持。「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」を擁するロレアル(L’ORÉAL)や香水メーカーのインターパルファム(INTER PARFUMS)など両カテゴリーに重点を置く企業は業績を伸ばしました。一方、為替変動に大きなダメージを受けてランクを下げた企業も目立ちました。
M&AやIPOは停滞期へ
21年は活発だったM&AやIPOに関しては落ち着いた一年となり、エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)の「トム フォード(TOM FORD)」買収や、プーチ(PUIG)の「バイレード(BYREDO)」の株式取得に注目が集まりました。唯一の大型IPOとしては、成長著しい中国のスキンケアメーカーのシャンハイ・シックマックス・コスメティック(SHANGHAI CHICMAC COSMETIC)が初めて香港市場に12月に上場を果たし大きく順位を上げました。そのほか、TOP100にランクインした日本企業14社の動向も必読です。
(COVER CREDIT)
PHOTO : TAK SUGITA(Y's C)
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PROPSTYLING : NAZUNA
DESIGN : JIRO FUKUDA