村田善郎/社長 プロフィール
(むらた・よしお)1961年10月26日、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、85年に高島屋に入社。2011年柏店長、13年執行役員、15年常務取締役、17年代表取締役常務を経て、19年から現職。20年5月から日本百貨店協会会長
高島屋はスケールの大きな「まちづくり戦略」に取り組み、二子玉川、新宿、日本橋、シンガポール、バンコクなどで実績を重ねてきた。今年秋には創業地である京都でも大型プロジェクトを控える。同社のまちづくり戦略は、核となる百貨店の魅力を前提に成り立つ。目下の課題はファッション部門の再建だ。(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月24日号からの抜粋です)
重点取引先とタッグを組んで
魅力あるファッションフロアを作り出す
WWDJAPAN(以下、WWD):2023年3〜5月期に、国内百貨店事業の売上高でコロナ前の19年実績をわずかに上回った。
村田善郎社長(以下、村田):確かに数字としては19年を上回る週や月が増えた。ただ、けん引しているのは、外商を中心とした富裕層の旺盛な消費だ。中間層による衣料品や服飾雑貨も回復はしているが、コロナ前と比べるとまだ道半ばといえる。インバウンドの伸び率は西高東低で、当社でいえば大阪店や京都店が急回復している。関西国際空港の増便が追い風になった。今後、中国本土のお客さまが増えれば、さらにプラスオンになる。
WWD:百貨店は中間層ではなく富裕層に軸足を移すのか。
村田:外商などの富裕層の市場が有望であることは間違いない。ただ、百貨店は幅広いニーズに支えられていることが、コロナの収束後に改めて見えてきた。冠婚葬祭などのセレモニー、商談などのビジネスシーン、それに旅行や外出。特に5類への移行後、婦人服、紳士服もそういった需要は伸び続けている。百貨店に求められるハレの需要は、けして小さな市場ではない。ちょっと上質なスーツや革靴を新調するビジネスマンも増えている。百貨店事業としても利益率の高いアパレルが極めて重要であることに変わりない。
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