最も有力なファッション素材見本市の一つ「プルミエール・ヴィジョン」が、7月4〜6日までパリで開催された。1315社が出展し、95カ国から業界のプロフェッショナル2万1315人が来場した。来場者は前年7月展比で10%増だった。テキスタイルデザイナーの梶原加奈子KDSデザイン代表が、その内容を詳細リポートする。
メガトレンドテーマは「ソーラーヴィジョン」
1 / 9
プルミエール・ヴィジョンは2024-2025年秋冬シーズン、環境/社会/経済の混沌とした時期を経て未来型に移行していく方向性が示され、クラシック且つヴィンテージ感がありつつも、テクノロジーが中核に存在した新しい時代感を発信していました。
特に熱気のあったのが、宇宙からのエネルギーや太陽と地球の関係性にフォーカスした「SOLOR VISON(太陽の指針)」をもとに、持続可能な社会を前進させていくための革新的開発と実践的進化を目指したサステナビリティへの新しいアプローチです。ファッション産業はより製造背景が重要となり、サーキュラーシステムや新たな代替え素材の提案が増えています。
長く使用できる上質な素材は評価され、古着の活用がリスペクトされていく。長期的視野で持続性を優先する価値観がデザイン全般に影響していました。
会場中央のトレンドフォーラムは、宇宙と地球の関連性を意識した未来的なディスプレー。ソーラーパネルを想定した什器デザインや人工衛星との交信をイメージした金属調のオブジェが木の幹に合体していて、これからの新エネルギー開発やAI時代を示すような感覚が表現されていました。全体的なムードはダークでシックな雰囲気が漂っており、光と影のコントラストを浮き立たせる「ボカシのグラデーション」が、最も注目すべきデザインのポイントです。
意匠性は引き続き光沢感は重要ではあるものの、マット感やナチュラル感も強くなり、今シーズンも相反する素材のバランスが重要です。合繊、セルロース繊維の無地は光沢感がリードしていましたが、天然素材の無地は微起毛加工されたピーチ感が今まで以上に多かったです。全体的には、より一層ランダムでイレギュラーなバブル調の表面感があるデザインに向かっていきそうです。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。