百貨店では従来の枠を超えた売り場作りが進んでいる。衣料品、服飾雑貨、化粧品、食品、リビング・生活雑貨といった商品分類ごとにフロアを分けるのではなく、新しい商品との出合いを演出するような売り場構成や動線に知恵を絞る動きが盛んだ。ここでは多様な「香り」を切り口にする松屋銀座本店と、ユニークな「アート」を用いる西武池袋店本店の動きを紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月24日号からの抜粋です)
松屋銀座店「香り」をテーマに集積 若い世代を呼び込む
松屋銀座本店のフレグランスゾーンが好調だ。昨年8月の化粧品売り場の増床に伴い、新設された。今年3月に「メゾン マルジェラ『レプリカ』フレグランス ストア」が開店し、「ノーズショップ(NOSE SHOP)」「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY以下、ビュリー)」「ディプティック(DIPTYQUE)」の4店が軒を連ねる。香水、ボディーケア、ヘアケア、ルームフレグランス、石けんなど、香りを軸にしたアイテムを豊富にそろえ、これまで百貨店に来なかったような若い世代の集客に成功した。販売は計画比30%増で推移する。
化粧品売り場の増床の狙いは、新規客の獲得だった。ライフスタイル系のフレグランスゾーンもその役割を期待されていた。三原薫子バイヤーは「想定以上に若いお客さまの呼び水になった。10〜30代の若い世代が多い。長いコロナ禍を経て、身の回りの香りを自由に楽しむ方々が増えている」と話す。他人に向けて香りで自分を演出する楽しみ方だけでなく、生活の隅々まで自分の好きな香りで満たしたいという需要が高まった。「リラックスしたり、気分を高めたり。これまで限られていた日本の香水人口は確実に増えている」。
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