敏感肌化粧品市場が活気づいている。グローバル全体でみると2022年は2兆3000億円規模(ユーロモニターインターナショナル調べ)となり、直近9年で2.4倍と拡大。花王によると、背景に大気汚染や花粉飛散量の増加、ここ最近ではコロナ禍によるマスク着用など肌を取り巻く環境が年々悪化しており、敏感肌と感じる人が増加傾向にあるという。その中で、同社が手掛ける乾燥性敏感肌に着目したスキンケアブランド「キュレル(CUREL)」が敏感肌化粧品市場のさらなる活性化に取り組んでいる。
「キュレル」は1984年に米国で乾燥肌のためのハンド&ボディークリームブランドとして誕生。98年に花王グループに参画し、日本では99年から展開。来年は日本でのブランド誕生25周年を迎える。セラミドを主成分に顔から体、頭皮までトータルでケアするアイテムをそろえ、直近10年(2012〜22年)の売り上げは、年平均28%増と右肩上がりで成長。花王のG11の基幹ブランドとして中国を中心にアジア圏や欧米など10の国と地域で販売し、各エリアで好評を博す。
売れ筋はフェイスクリームで、化粧品敏感肌市場においても7年連続売り上げNo.1(インテージSRI調べ/16年1月〜22年12月)を誇る。次いで化粧水と泡洗顔が人気だという。全身に使えるスプレー“ディープモイスチャースプレー”は、TVCMの放映などプロモーションを強化し、売り上げを伸ばしている。
このほか事業領域は化粧品だけにとどまらず、皮膚科学の学会セミナーに参加し、著名な皮膚科医がセラミドの重要性を提言するほか、がん医療への支援を継続的に実施。また、現在2077の医院と取り組み、正しいスキンケアの啓発活動を推進する。
30年までに売上高を現状の1.3倍と目標を掲げ、海外売上比率を50%に高める方針だ。花王化粧品事業部門「キュレル」グループの松倉申之介ブランドマネージャーは、「売り上げを追い求めるだけでなく、100年愛される商品づくりを真摯に行っていく」と力強く話す。
そこで、QOL向上のために新価値提案やカテゴリーの拡大を図る。7月は、20年の発売以来初めてリニューアルした“潤浸保湿 化粧水”【医薬部外品】(全3種、150mL、各2090円※価格は編集部調べ、以下同)の販売を開始。8月26日にはパールを配合した色付きのリップケアクリーム(全3色、各1045円)を発売する。
9月16日には、乳液処方の拭き取りメイク落とし【医薬部外品】(200mL、1650円)を発売する。“乳液ケアメイク落とし”は、毛穴の1/1000サイズのセラミドケアオイルを採用し、消炎剤と保湿成分を配合。メイク落としとスキンケアが同時にかなう。同社の実験によると角層水分量とバリア機能の改善が見られたという。
さらに、スキンケアカテゴリーの拡張を図る提案として、衣料用柔軟剤(500mL、660円/詰め替え880mL、880円)を10月7日に発売する。同社によると、一般的に柔軟剤を求める効果は香りと柔かさが重要視されているが、敏感肌の人は肌への刺激の少なさや肌触りをよくしたいという「肌」を意識したニーズを強く持っているという。そこで、花王ならではの柔軟剤技術を採用し、皮膚科医協力のもとチクチクやごわつきによる不快感を緩和する肌当たりのよい柔軟剤を開発した。天然由来の成分を配合し、柔軟成分が均一にムラなく繊維を覆うことでふんわりやわらかな仕上がりに導く。天然香料を配合し香りは控えめ。「衣類からのセラミドケア発想柔軟剤」として、SNSを活用しながら販促する。