主要百貨店5社の2023年7月度業績は、おしなべて1〜2割弱の増収だった。高額品消費の好調継続に加えて、外出需要が高まる中でボリュームゾーンの衣料品もけん引役となった。夏のクリアランスセールは店頭への一定の誘客効果があったが、客の関心は秋物の新作などの正価品にシフトしている。
各社の前年同月と比較した業績は、三越伊勢丹が19.3%増(19年同月比20.4%増)、高島屋が12.8%増(同3.8%増)、大丸松坂屋百貨店が11.6%増(同3.5%増)、そごう・西武が4.1%増(同横ばい)阪急阪神百貨店が17.3%増(同約10%増)。
都心店のラグジュアリーブランドやハンドバッグの売り場には、訪日客が本格的に戻ってきている。首都圏に5店舗を構える三越伊勢丹は、コロナ前の19年同月業績を約2割上回った。中でも訪日客割合が高い三越銀座店は、前年同月比42%増と大きく伸ばした。高島屋も免税売上高が19年同月を35.5%上回った。
クリアランスセールは縮小傾向続く
猛暑の中、盛夏向けの衣料品もよく動いた。「婦人カットソー、サマーニット、サングラス、サンダルなどが好調」(大丸松坂屋百貨店)。そごう・西武はワンピースや帽子などが売れ、婦人服と婦人雑貨が前年同月比5%増だった。
クリアランスセールは縮小傾向が続く。三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店は、セール期間中でも展開商品のうち75%が正価販売。「お客さまも割引商品が目当てというより、欲しいものは正価でも購入するという傾向が強い」(同社広報)。阪急阪神百貨店の阪急本店は7月のセール品の売上高が前年同月を超えたが、指標としてそれほど重要視しない。同社の広報担当者は、「クリアランスセールをやめる取引先も増えている。定価品とセール品を編集し、どう鮮度のある提案ができるかが重要」と話す。