人工雪を降らせてスタートしたショーは、冷たいブルーのグラデーションドレスやスカートが登場した。冷感のある氷柄は、徐々に温感を帯びていき、氷が溶けていく様を描いたイエローやオレンジ、そしてレッドに変化していく。テーマは「SEASON」。さらに、人間にサーモグラフィカメラを当てた時の体温変化を転写プリントにのせ、特徴的なパターンに仕上げた。
森永邦彦デザイナーは「春夏、秋冬とシーズンを区切ってショーを行なっているが、果たしてこれでいいのか。春でも寒い日はあるし、秋でも暑い日がある」と語る。いわゆるシーズンの区切りに異を唱える森永。すべてのルックに温度調整素材のアウトラストを使用し、衣服内の温度を人間が快適と感じる33度にコントロールしたという。同素材でショート丈のダッフルコートやグレンチェックのジャケットを作り込む一方、ファーやレザー素材を織り交ぜる提案も。異素材コーディネートと、時折見せるボリューム感のあるアウターも今季の象徴だ。
フィナーレは、熱を照射するライトを服に当て、素材の特徴を際立たせる演出を行なった。「特に服は大きく変化しなかったが、(先シーズンの縮む服など)今までがサプライズありきの演出という感じだったので、今回は服をしっかり見せた」と森永。作り込まれたコンセプトと同時に問題提起をするあたりは、「アンリアレイジ」ならではということだろう。