ランウェイ形式でのショーを行なわず、約60体のマネキンを階段状の舞台に配置した。そのマネキンには「ソマルタ」のシームレスドレスである"スキンシリーズ"が着用されている。まるで、同ブランドのアーカイブ・ミュージアムのように見えるが、デザイナーの廣川玉枝は「ファッションという形で見せているが、その壁を壊せばアートになる」とひと言。同じシリーズを実直に作り続けながら、素材や柄、ディテールが格段に進化した様子を表現したという。後に出てきた14-15年秋冬コレクションには、力強い"雪の結晶"がスカートやブラウスにのせられている。昨年開催された展覧会「中谷宇吉郎の森羅万象帖」や同氏のエッセイなどを通じ、自然現象の美しさを図象化した。繊細なレースやニット、ツイード素材といった織りや編地を駆使したライダースジャケットやコート群も特徴。さらに、草木柄でカモフラージュ柄を作り込み、モダンなブルゾンに仕上げた。力強いパターンと都会的な提案、そして先シーズンから引き続き、和装のテイストを取り入れた。折り紙を想起させるプリーツやパープルの生地を重ねたドレスは、非常にシャープな印象。そこに、過度なオリエンタルテイストはない。廣川デザイナーがアイテム化する自然現象や植物柄は、今シーズンも力強い。