8月7&14日号の「WWDJAPAN」サステナビリティ特集は、トレーサビリティーに焦点を当てます。トレーサビリティーとは、製品の原材料から製品化、消費、廃棄までの全ての工程を追跡することを指します。
サステナビリティの取り組みは、エビデンスが求められるフェーズに入りました。「地球に優しい」ではもはや消費者は納得しません。サプライチェーンを透明化し、自社のビジネスがどこにどれだけの負荷をかけているのかに向き合うことで、サステナビリティを実体を持って語ることができると思います。もちろん、分業体制でコストを抑え、スピーディーな生産体制を構築してきたアパレル産業にとって、透明性の追求はハードルが非常に高い。生産背景は競合を意識し隠すことが当たり前でした。しかし、その1着が作られるまでに関わる全ての人々の生活や土地にとってベターな選択を重ねていかないことには、持続可能な業界の理想像は描けません。
ファストリ、「H&M」、良品計画の戦略は
特集ではまず、「長くて複雑」と言われるサプライチェーンを図解することから始めました。1枚の無地のTシャツには、なんと40もの工程があります。アパレル関係者でも服ができるまでを実はよくわかっていない、という人は多いのではないでしょうか。今目の前にあるその1着の背景を想像し、それぞれの立場で持続可能な未来を想像するきっかけになってほしいという思いを込めました。表紙は、フォトグラファーの大原敏政さんの撮影で、Tシャツがたどってきた背景ストーリーを表現してもらいました。
また、昨年フランスで施行された「循環型経済のための廃棄物対策法」や「持続可能な製品のためのエコデザイン規制」など、消費者が環境に配慮した消費行動を選択できるよう情報開示を求める法規制は着々と進んでおり、グローバル企業は喫緊の課題として対応を進めています。ファーストリテイリング、H&M ヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパン、良品計画の戦略について取材しました。また、このほど来日した「グッチ(GUCCI)」の親会社ケリング(KERING)のチーフ・サステナビリティ・オフィサーは、ラグジュアリーブランドにとってのサステナビリティについて語ります。そのほか、豊島、ユナイテッドアローズ、ファッションレボリューションジャパンという異なる立場の3社でトレーサビリティーの理想と現実を語った鼎談や、新たなソリューションを提供する注目スタートアップ企業も紹介します。
インスタマスター、木村麗さんによる新連載も
国内のニュースページでは、セブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武の売却問題について掘り下げます。そごう・西武労働組合が雇用維持などの懸念からストライキ権を確立し「泥沼化」している現状を整理しました。
「ビューティ・インサイト」では、「世界のビューティ企業ランキングTOP100」で明らかになった、急成長中のあのプチプラブランドについて、矢野貴久子・アイスタイル「BeautyTech.jp」編集長が解説します。本号から元販売員で、SNSのコンサルティングなどを手掛ける木村麗さんによる新連載も始まります。木村さんによるインスタグラム攻略法は必読です。巻末連載では、メンズコスメ担当記者によるおすすめ韓国コスメを紹介します。
(COVER CREDIT)
PHOTO:TOSHIMASA OHARA (AOSORA)
SPECIAL THANKS:FASHION REVOLUTION