ジュエリーブランドの立ち上げ支援プロジェクト“ザ ネクスト ジュエリー”によるポップアップショップが8月8日まで、高島屋新宿店で開催中だ。同プロジェクトは、高島屋と阪急阪神百貨店(以下、阪急阪神)、ジュエリーメーカーのラッキーアンドカンパニー(以下、ラッキー)3社共同企画で昨年9月にスタート。約100件の応募から選ばれた6人のメンバーが3社の支援を受けて約40種類のジュエリーを制作し、ポップアップで販売する。
参加ブランドは、タレントの新井恵里那による「アンディーマ(ANDIIMA)」、池滝祥子による「プウィンク(PWINK)」、土田あやこによる「ビーチェ(BEACE)」、出路加奈子による「マヴォア(MA VOIE)」、野依祐月による「オワリ(OWALI)」、森友里恵による「ユリモリ(YURIMORI)」。同プロジェクトを担当した高島屋MD本部 婦人服・婦人雑貨・子ども・ホビー部のマーチャンダイザーである高橋由紀恵担当部長とバイヤーの木谷文香課長に話を聞いた。
百貨店クオリティーとOEMメーカーの技術力による安心感
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ジュエリー業界の活性化を目的にしたこのプロジェクトは、高島屋から業務提携をしている阪急阪神やラッキーへアプローチしたことからスタートした。木谷課長は、「新しいジュエリーブランドが育たないという業界の課題を認識し、百貨店クオリティーの安心感とノウハウ、そしてOEMメーカーの技術を融合させ、ブランドの立ち上げを支援をしたいとはじめた」と語る。ジュエリー業界では、コロナの影響をはじめ、地金やダイヤモンド価格の高騰により、新しいブランドが参入しにくい状況だ。売り場の話題作りのために、各百貨店、ポップアップで目新しいブランドを紹介しているが、常設売り場を設けるほど安定したブランドは少ない。ブランドを立ち上げて継続していくには資金力とノウハウが必要。それらを提供するのがこのプロジェクトだ。
高橋部長は、「百貨店は、売れ筋の商品や価格帯の知識があり、のれん(場所)も提供できる。埋もれている才能を育てたいという思いがあった。ノウハウを提供するのは百貨店の役割だ。高島屋が認めた品質の素敵なブランドの発展に寄与できたら嬉しい」と述べる。百貨店2社共同にした理由は、「東西それぞれに基盤がある百貨店2社が組むことで、注目度もアップするし、応募者へのメリットが高まると考えた。安心感と本気度も高まるはずだ」と続ける。
ブランドの立ち上げ支援で売り場もリフレッシュ
このプロジェクトの選考をするにあたり、カラーストーンやクラフト感、ファッション性などキーワードを設けて、テイストが分かれるようにした。第一期生には、ジュエリー作りのベースがある人もない人もいる。木谷課長は「応募者の熱意が大切。そして、プロジェクトを進めるためのコミュニケーション力も重要だ」と言う。第一期生の一人である野依は伝統工芸品「尾張仏具」の錺金具師(かざりかなぐし)で、通常は百貨店の催事などに参加している。彼女は、「若い世代が来る場所でポップアップができてうれしい。立体的に彫金を施したのは初めてで、メーカーに技術的な部分で助けてもらい完成させた。今後も(ブランド)を継続していきたい」と語った。
6つのブランドは、今回のポップアップでの反応を見つつ、ラッキーのECでも商品を販売する。8月に第一期が終了し、6人がどのようにブランドを続けていくか3社を交えて検討していくという。高橋部長は、「第二期、第三期とこのプロジェクトを継続し、個人事業主が多いジュエリー業界における活躍の場を広げたい。そうすることで百貨店の売り場もリフレッシュさせたい」と話した。