使用するモチーフは、丸と直線で構成するレトロポップなグラフィックや、カモフラージュを形成する花と蝶、動物、コンメディア・デッラルテ(イタリアの仮面劇)の衣装に用いられるようなダイヤモンド柄など多彩。クチュリエの技術力を存分に発揮し、プリント、ジャカード、インターシャ、エンブロイダリー、パッチワークなどさまざまな方法を用いて、同じ柄を異なる表情で描いている。
コーディネートの中心は、得意とするハイウエストのドレスやスカートだが、今季はミニとマキシに加えたミッドカーフ丈が新鮮。ドレスの袖から後身頃を覆うマントや立体的な花のモチーフで作った付け襟は、クラシカルでエレガントな雰囲気を醸し出す。そこに、ケープやファーコート、ニットを加え、デイウエアとして提案している。終盤には、プリンセスラインを描くイヴニングドレス群を披露。チュールに手作業で繊細な刺繍を施したクチュールのようなドレスは、ため息が出るほどに美しい。
また、フィナーレには、デザイナーのマリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリが、フロントローにいた創業デザイナーのヴァレンティノ・ガラヴァーニのもとに駆け寄り、ハグする場面も。会場は、鳴り止まぬ拍手と温かいムードで包まれた。