ファッション

「ダンヒル」2015年春夏ロンドン・メンズ スーツ復調を確信させる2種類のジャケット

 「ダンヒル(DUNHILL)」の2015年春夏メンズ・コレクションは、2種類のジャケットがポイントだ。それは、イギリスらしい着丈の長いジャケットと、シルク100%のアンコンジャケットに代表される2つ。前者は既存顧客を安心させる真骨頂であり、後者は彼らの休日はもちろん、新しい顧客を開拓する今ドキのアイテムだ。そこに、かなりシルエットをタイトに改良したパンツや、ひざ上丈のショーツを合わせ、モードであったり、若々しかったりの印象を強めている。かつてトム・フォード退任後の「グッチ」でメンズを統括したジョン・レイらしさが色濃くなった印象だ。

 2種類のジャケットは、オフホワイトのリネンを用いたり、ギンガムチェックをのせたりすることで、モダンなライフスタイルにさらに即したスタイルにまとめている。ボトムスのサイドにはグログランのリボンを配したイヴニングでさえ、Vゾーンは開襟のプリーツシャツとスカーフなどでまとめ、サヴィル・ローにありがちな堅苦しい雰囲気を極力排除した。ヴィクトリア調のボタニカルプリントを配したスイムウエアに、チェスターのようなシルエットのマッキントッシュ風コートを羽織るなど、従来の「ダンヒル」ではチャレンジできなかったようなポップな提案も多い。

 アクセサリーは、ジョン・レイが愛してやまない巨大なバッグ。「エスケープ」をテーマに、ビーチリゾートへの旅路を描いたコレクションのアイコニックなアイテムだ。ジョン・レイは、「旅先で洗濯するのが大嫌い。僕なら、シャツを何枚も重ねて、大きなバッグに放り込んじゃうね」と話した。

 日本における「ダンヒル」は、売り上げ構成比のおよそ半分を占めるスーツが絶好調。特にカスタムとビスポークは、2年前に比べて3倍ほどに増えている。こうした背景も踏まえ、ジャケットの提案が豊富になったのだろう。コレクションで発表した商品には、従来の価格の1.5倍程度になりそうなラグジュアリーなアイテムもある。スーツの好調を受け、さらに上のステージを目指そうという野心的なコレクションでもある。

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