「アストリッド・アンデルセン(ASTRID ANDERSEN)」の2015年春夏メンズ・コレクションは、日本の伝統文化「相撲」にインスピレーションを得た。このブランドは毎シーズン、筋骨隆々のマッチョを理想の男性像とし、彼らの逞しい体と、その体について“ダメ出し”されると傷ついてしまう繊細な心を、体中の筋肉を誇張するボディコンシルエットとレースなどの素材使いで表現している。今シーズンは、普段ならベースボールシャツのようなアイテムに仕上げる背番号入りのトップスを着物シルエットのシャツで提案した。相撲と言いつつ、アンデルセンのイマジネーションはアジア全域に広がり、ウエアにはペイズリー柄をのせたり、チュニック丈のロングシャツが登場したり、頭にスカーフを被った後サンバイザーをのせてみたり、中東のエッセンスも垣間見える。
時折登場し、「相撲」を強烈に印象付けたのは、“まわし”だ。コペンハーゲンを拠点とするデザイナーらしく、時に“まわし”はファーなど豪華な素材でも提案したが、基本はウェットスーツに用いるネオプレンで成形。裾にはフリンジをあしらい、明らかに“化粧まわし”を意識した。単なるショーピースとしての提案だろうか?いや、健康的なスポーツマインドがいまなお健在で、そこに1990年代由来のレイヤードで作るモードテイストが台頭するメンズシーンにおいては、“まわし”はスポーティかつレイヤード可能な着丈の長いアイテムで、トレンディだ。