今シーズンのポイントは、チュニックのようなシルエットのひざ丈シャツ、極端なドロップショルダーのオーバーサイズシャツ、それにジャストひざ丈のショートパンツ。いずれもシャツ地やスーツ地で作っているからフォーマルにカテゴライズされるが、その生地をTシャツ生地やスウェットに変換すれば、レイヤードを作る上で欠かせないストリートど真ん中のアイテムばかりだ。サラ・バートンは、こうしたアイテムをサヴィル・ローらしく重ねることでグランジとフォーマルの中間点を模索する。例えばひざ丈のシャツは、着丈の長いコンパクトなジレと強引に合わせることで、随所にランダムなドレープを生むインナーに変身。スーツ地のショートパンツは、ビジネスソックスのような素材で作るレギンスと組み合わせる。その発想は、伝統的なスタイリングではなく、あくまでストリートライクなレイヤード。シャツとジレ、スーツとビジネスソックスをレイヤードすることで、サヴィル・ローを若い世代に継承する。
ジャケットもひざ下丈のチェスターコートとドッキングしてしまったかのようで、疑似的なレイヤードを描く。アブストラクト(抽象的な)カラーブロッキングがインパクトを放つが、基本は黒か白の1トーン。それをチープな光沢を放つパテントレザーと重ねたり、一部を塗料で汚してしまったりのアイデアも90年代のグランジ風だ。