ファッション

「J.W.アンダーソン」2015年春夏ロンドンメンズ アンダーソン、ビジネス感覚を身につけて再始動

 「J.W.アンダーソン(J.W.ANDERSON)」の2015年春夏メンズ・コレクションは、貫頭衣のようにシンプルなパターンのジャカードニットから始まった。描かれたのは、牧歌的な風景画。模様に応じて編み目を変えるなど、細部にもこだわっている。「ロエベ(LOEWE)」のクリエイティブ・ディレクター就任して以来、コレクションは少しずつ「色違い」「素材違い」から、バリエーション豊かになっている。

 豊かになったのは、カギを握るテクニックの使い方も同様だ。半年前の14年春夏は、様々な素材に挑んだもの、いずれも生地を捻じるかつまむかで成形し、一本調子な感が否めなかった。奇想天外なフォルムは「アンリアル」にしかつながらず、アヴァンギャルド一辺倒から前進すべき時期だったにも関わらず、そんな決意は感じられなかった。ところが今シーズンは、引き続き「結ぶ」をキーワードにアシンメトリーなフォルムに数多く挑戦しているが、ピンストライプの布帛で作るスタイルはいずれも男性の体にフィットし、リアリティが格段に進化。「結ぶ」は、洋服の身頃そのものに当てはめることで難解さを増すだけでなく、たとえばスカーフ(とは言え、それが袖とつながっているチャレンジングなアイテムではあるのだが)やベルトなどコマーシャルな発想にまで広がっている。

 大きな一枚の生地をサイドで2ヵ所「結び」、それを頭から被るトップスは、素肌の上にまとうから難易度が高そうに見えるし、若干半年前のウィメンズ・トレンドに引っ張られている感が否めないが、レイヤードアイテムとして機能しそう。そもそも、ウィメンズのトレンドとリンクしているあたりは、さすが、男女が同じスタイルをシェアする潮流「クロスジェンダー」の旗手と言うべきなのかもしれない。

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