古くはバッファローレザーで作った無骨なレザーブルゾンに始まり、ここ5年では異素材を組み合わせる「ハイブリッド」というアイデア、さらにはメンズのビッグボリュームアウター、ネオプレンなど、振り返ると「ニール・バレット」は、1年~数年後、メンズ全体に大きく広がるトレンドをいち早く仕掛けてきた。そんなブランドの最新コレクションは、ピュアホワイトに始まり、ライトグレーとシルバー、ネイビー、ベージュ、モスと変化する1トーン・コーディネイト。それだけでも90年代のムードが満載だが、ムース素材とボンディングして作ったコンパクト丈のレザーブルゾンの下に、裾に長さがほんの数センチしか変わらないインナーを2枚重ね、レイヤードを楽しむ。上に位置するインナーには、脇にファスナーでスリットを指し込み、下のインナーが見えるように配慮している。
2着のインナーは完全に同じ色なので、レイヤードは目を凝らせなければわからない。でも、ファスナーを加えることでそれを数少ないデザインの一要素としつつ、加えて“重ねている”ことを控え目に誇る。スタイリングがモノを言った、90年代のスタイルが再来している。
90年代のレイヤードとの違いは、その「軽さ」だ。今も昔もレイヤードはレザーで完結するが、皮革が重くて、固くて、体になじむまで時間を要していたのは過去の話。今は軽くて、柔らかくて、ムースとボンディングするので着心地も抜群の素材だ。これで仕上げるレイヤードは、グランジの様相を潜め、むしろ小ぎれいで軽快に見える。2015年の”90年代風”レイヤードの完成だ。