ユニークなのは、水兵の作業着である“つなぎ”のエレガントバージョン。エポーレット付きのジャケットとリラックスシルエットのパンツは、ウエストバンドで一体となった。一見するとセパレートなのに、実は一着のトロンプルイユ(だまし絵)だ。
このように、最近「優しさ」を漂わせる「グッチ」ゆえ、コレクションにはいたるところに共感を誘うリラックスムードや笑みを誘うアイデアが潜んでいる。ジャケットの下に合わせたシャツは、時にロング丈のリラックスフォルム。フリーダ・ジャンニーニが愛してやまないスキニーパンツは、今シーズンに限って言えばむしろ少数で、腰周りにタックを刻んだリラックステーパードのバリエーションが豊富。特に裾をロールアップしたデニムやチノパンは今の気分だ。足元も、ホースビットのローファーのほか、キャンバスタイプのスニーカーまで幅広い。日常の生活における幸せを噛みしめ、その喜びをひと匙加えているフリーダのコレクションは、たとえ直球勝負でもバリエーションに富んでいる。