端的に言えば、今回のコレクションは、「リメイク」を大きく超えた「改造」の洋服。例えば、ボロボロに起毛させたシルクは、左足分だけボトムスに仕上げ、スーツ地で作った右足とドッキングする。スーツは、縦方向に細く長く切り刻まれ、糸を敢えてほつれさせることで「マルジェラ」らしい「時代」や「痕跡」を残したグランジウエアに生まれ変わった。スタジャンは、左右の前身頃と袖、肩周り、そして後ろ身頃がすべて異なる生地でできたコンパクト丈。ボンディングレザーのブルゾンも、「ハイブリッド」感覚がハンパじゃない。あるトップスは、後ろ身頃にタンクトップをそのまま一着張り付けたような構造になっている。本来なら左右対称、前後は同じ表情が当たり前の洋服を、ことごとく左右非対称、前後もバラバラに仕上げたようなコレクションだ。
中盤以降に登場したのは、ヌードカラーのセカンドスキンにビーズを加えたボディスーツ。一方、序盤には、ただでさえオーバーサイズなのに、パラシュート素材で作るから歩くたびさらにふんわり広がるトレンチコートが登場する。「マルジェラ」は、一筋縄ではいかない。一言で片づけられない洋服、そして、そんな洋服が集合したコレクションだ。