「日本の売上高は当初同5.5%増を計画していたが、2ケタ以上の伸びを見せた。5ポイント以上は大谷選手の効果とみている」(望月愼一コーセー取締役経理部長)と語るように日本市場と米発自然派コスメ「タルト(TARTE)」が全体の売り上げを押し上げた。地域別の売上高は日本が同15.5%増の875億円、アジアは中国のECと韓国のトラベルリテールが低調で同11.5%減の319億円。北米・欧州・その他は「タルト」で第1四半期の倉庫移転による前倒し送品の反動がでたものの、定番品や“シェイプテープ”シリーズのコンシーラーが好調で、同32.4%増の248億円と伸長した。
事業別では化粧品事業が「タルト」のほか、大谷選手起用で躍進した「コスメデコルテ(DECORTE)」「雪肌精」や「ワンバイコーセー(ONE BY KOSE)」が好調に推移し、同10.8%増の1170億円、コスメタリー事業が「ヴィセ(VISEE)」、シートマスクブランド「クリアターン(CLEAR TURN)」などが好調で、同8.6%増の262億円、その他が同20%増の10億円だった。
小林一俊コーセー社長は「1月から大谷選手、羽生選手を起用した広告を全国紙に掲載するなど攻めの姿勢で挑んだ。ヒット商品も多く生まれ日本の売り上げは2ケタ増だったが倍増できるチャンスがあったと満足できていない。大谷選手を起用した日焼け止め商品の売り上げが想定を大きく上回ってもいない」とコメント。日焼け止めの需要拡大など伸びしろはあるため、下期に期待をよせる。
23年12月期連結売上高は、前期比5.5%増の3050億円、営業利益は「販管費を投じて売り上げを積み重ねること、福島の原発処理水放出で中国市場にどの程度影響を及ぼすか未知数のため」(望月経理部長)同5.1%減の210億円、経常利益が同28.5%減の203億円、純利益が同29.1%減の133億円を見込む。