「コレクションを『クラシカル』と表現してもいいと思う。特に今シーズンは、斬新なアイテムを考案したワケでもない。メンズのファッションは、毎回激変する必要がない。今回は特に、スーツを現代の生活にとって“完璧”なものにしたかった」とメンズデザイナーのルカ・オッセンドライバーは語る。
“完璧”を求め加えたのは、“不完全”の要素。例えば、ファースト・ルックのボックスシルエットのジャケットは、ノーライナーで。どのメゾンのそれよりも歩くたびに軽快に揺れる。「自転車にも、メトロ(地下鉄)にも乗るんだから、洋服は機能的で軽くなければならない」と考え、昔は“完璧”のために加えていたライナーを取り去り、あえて“不完全”にすることで、現代の生活に沿うよう配慮した。また、ジャケットルックにはスカーフを多用。ネクタイを用いないのもまた、現代の“完璧”を求めるべく、過去のスタイルを崩したアイデアの一つだろう。
後半は、ジャケットの下にブルゾン、さらにシャツのレイヤードルック。しかし、3枚のトップスを羽織ってもレイヤードは横に広がらず、Iラインをキープする。「ほとんどパジャマのようなアイテム」という、ハリコシのない、重力に従い下に垂れる光沢生地を多用したためだ。シャツやブルゾンは、ウエストをエラスティック(ゴム)にしたパンツにインしたり、太いベルトでウエストマークしたり、ブルゾンの裾にあしらった太いリブでギュッとウエストマークすることでシンプルなラインを崩さない。過去の“完璧”なフォルムを再現しつつも、洋服の一部を改良し、一般的だったルールから少し逸脱して“不完全”にすることで、それがモダンのエレメントとなっている。エレガント、でも快適。「ランバン」が追い続ける哲学が、よりメンズの本質に近付き表現されている。