直線のセットアップは、すべてのパートが三角形と四角形、また三角すいと四角すいから構成されている。その風貌は、まるでガンダムかエヴァンゲリヲンだ。一方、曲線のセットアップは、大胸筋や大臀筋、上腕二頭筋などにパッドを仕込み、筋肉を極限まで強調したシルエット。この2つを交互に登場させることで、「体の構造とは?」や「それに合うスーツの形とは?」などの質問を投げかけているようなコレクションだ。
バカげたフォルムで、決してリアルなコレクションではない。しかし、トム・ブラウンは、これを本気でやるから面白い。今シーズンもシアサッカーやマドラスチェックなどの生地を用い、蝶々や花々のエンブロイダリーを加え、クチュール級のスーツを生み出した。そこから、人体の不思議とそれを覆う洋服の構造についての考えを促した雰囲気。リラックスムードの台頭で様々なフォルムが生まれている現代のトレンドについて、疑問でも否定でもないが、何らかの一石を投じている印象だ。