コレクションは前回同様「ショッキングピンクなどスキャパレリのアイコンに安易に頼らない」という姿勢が貫かれていた。ファーストルックはショート丈のレオパード柄ビッグコート。ファーが施された大きな袖はどこかアンバランスでファンタジーな印象。一方、素材はカシミヤやアルパカを用い、袖の部分はセーブルと極めてラグジュアリーだ。続いて登場したのは、ビッグな袖のクロップド丈ビーバーファーコート。コーディネートするのは、日本製クレープを使ったネイビードレスで、部分的にスパンコールが施されている。その他、軽やかなクロコダイルのフレアスカートにタイトな半袖ニット、ハートのモチーフがキュートなベルベットのミニドレス、右胸元にESと刺繍された、分量感たっぷりのコーラルピンクのマキシ丈モヘアウールコート、フォックステリアなどの犬のプリントが施された軽やかなプリーツスカートに袖の大きなファーのブルゾンなど、素材感、質感、分量感を駆使して、アンバランスで不可思議な世界を表現。さらに、そのほとんどのルックにコーディネートされているニット帽、魔女がかぶっているようなとんがり帽などのヘッドピースが、ファンタジー感を強める。トレンドの”リアルクチュール”とは一線を画している。マルコは「スキャパレリのモチーフは多くのメゾンで再解釈されている。そのため、『スキャパレリ』として表現するには新しい解釈が必要」と話していた。アバンギャルドなスキャパレリを現代風にアレンジするためにマルコが選んだのは、ファンタジックにツイストする方法ということなのだろう。
「スキャパレリ」を傘下に置くトッズグループのディエゴ・デッラ・ヴァッレ会長兼CEOは、「スキャパレリのスピリットを感じさせるすばらしいショーだった」と絶賛する。