「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」を傘下に持つタペストリー(TAPESTRY)は8月10日、「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」を擁するカプリ・ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)を買収した。取引額は約85億ドル(約1兆2155億円)。これにより、年商約120億ドル(約1兆7160億円)の巨大企業が誕生する。2社を合わせた昨年の調整後営業利益は約20億ドル(約2860億円)で、今後は75カ国で事業を展開することになる。
今回の買収は、アメリカ企業がフランスのLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)やケリング(KERING)のような、強力なブランドポートフォリオを有するコングロマリットに最も近づいた取引だといえるだろう。合併によってはるかに大きな存在感を持つようになるとともに、より合理的な運営で2億ドル(約286億円)規模の経費削減が可能になるという。また、ポートフォリオが広がることで、より強力なブランドがその他のブランドをカバーでき、企業としての安定性が増すことにもつながる。
タペストリーのジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)最高経営責任者(CEO)は、「より幅広いブランドポートフォリオによって、競争優位性をさらに強化できる。『コーチ』『ケイト・スペード ニューヨーク』『スチュアート・ワイツマン』と『ヴェルサーチェ』『ジミー チュウ』『マイケル・コース』のコンビネーションは、新たに強力かつグローバルなラグジュアリー企業を生み、世界中の消費者や従業員、コミュニティー、株主のために価値を高める、またとない機会となるだろう」と述べた。
一方、カプリのジョン・アイドル(John Idol)会長兼CEOは、「今日の発表は、カプリにとって大きな節目になる。それは、『ヴェルサーチェ』『ジミー チュウ』『マイケル・コース』をパワフルで象徴的なラグジュアリー・ファッションブランドとして育て上げたチームの功績の証だ。私たちは、この合併が株主に直ちに価値をもたらすことを確信している。また、カプリがより大きく多角的な企業の一員になることが、世界中の献身的な従業員にも新たな機会をもたらすことだろう。タペストリーに加わることで、私たちのブランドのユニークなDNAを維持しながら、グローバル展開の拡大を加速させるためのより大きなリソースと強みを手にすることになる」と話した。
なお、今回の取引でタペストリーはカプリの株式1株当たり57ドル(約8100円)を支払うため、カプリの企業価値は85億ドル(約1兆2155億円)程度となる。これは同社の調整後EBITDAのおよそ9倍に相当する。