Photo by Giovanni Giannoni(c) Fairchild Fashion Media
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2015年春夏のパリ・ファッション・ウイークの初日、9月23日午後5時。「アンリアレイジ(ANREALAGE) 」がオンスケジュールでパリコレクションデビューを果たした。会場はパリコレでよく利用される美術学校のエコール・デ・ボザール。フロントローには、「スタイルドットコム」のニコール・フェルプス=エグゼクティブ エディターといったジャーナリストをはじめ、レクレルールのアルマン・アディダ社長ファミリーや森克彦モリリン会長兼CEOなどの「アンリアレイジ」をサポートする人々の姿も多く見られた。
招待状は影が伸びたような黒い封筒がレイヤーされた真っ白なボタンが付いた白い封筒。インビテーションカードには“SHADOW”と書かれている。会場には、コの字型のランウェイが用意され中央には意味深なライトが設置された。
ファーストルックは、パッチワークのジャケットとアシンメトリーなプリーツスカートを着たモデルが2人。全身を白に染められたモデルと、黒に染められたモデル。ただし白のモデルは、ランウェイの左から光が当たったような右に伸びる黒い影のウエアが重ねられ、さらにその背後に黒のモデルが重なり合うように立つ。招待状と同じ仕掛けを冒頭に用意し、テーマが光と影であることを明確化する趣向だ。その後に登場するのは、トレンチコートやライダースジャケット、編み地の異なるニットをパッチワークしたロングカーディガンなど、デザイナーの森永邦彦が得意とするアイテムで、いずれも影ウエアがレイヤーされている。パッチワークをカットワークで表現したアイテムもある。シルエットは、これまで以上にエレガントにシフト。ヨーロッパを意識したパターンを用意した。
中盤にかかると、全身真っ白なモデルが2人ランウェイに登場。ライトの前に立ち、強い光を数秒浴びると、光が当たった部分の服の色は白からグレーに変化する。2013-14年秋冬に“COLOR”と題して発表した紫外線で服の色が白からパステルへと変化する服のアイデアだ。それをベースによりコントラストの強いブラック&ホワイトで再現。その後も、木漏れ日柄をプリントしたドレスと、同様の柄をカットワークしたオーバードレスを真っ白なドレスを重ねたモデルに光を浴びさせ、その柄を浮き立たせる演出を加えるなど、趣向を凝らしたストーリーが展開される。ラストは真白なドレス。ライトの前に立ったモデルは、別の強い光が放たれ、その閃光で服に模様が描かれていく。「ライゾマティクス(RHIZOMATIKS)」の真鍋大度が、パッチワーク柄をプログラミングしたものだという。その後迎えたフィナーレでは「ブラボー」の声も上がり大きな拍手に包まれた。
こだわり続けた手仕事のぬくもりが感じられるパッチワークと、革新的な日本の技術を用いた実験的な試み。ブランドの核であるその両面を、伝えるには十分の内容だったと言えるだろう。「アンリアレイジ」を知らなくとも、ブランドの姿勢を伝えるデビューショーを見せることができたのではないか。
演出は金子繋孝、ヘアメイクは加茂克也が従来通り担当。新たに映像演出として「ライゾマティクス」の真鍋が加わった。今回の進出には「アンダーカバー(UNDERCOVER)」や「カラー(KOLOR)」などの海外進出を担ってきた大塚博美をコーディネーターに、現地PRは「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」などを手掛ける「ピーアール コンサルティング」のナタリー・ウルスの協力を得た。セールスは「アンダーカバー」などを10年ほど扱ってきた「ノー シーズン」のクリスティーヌ・マッザが担当する。