鳥のさえずりとともにショーはスタート。静まり返った会場に聞こえるのは鳥のさえずりとシャッター音のみで、モデルはゆったりとした足取りでランウェイを歩いていく(のちにベルギー人ミュージシャンで画家でもあるMax Colombieによる音楽に変化)。
ファーストルックは、シルクサテンのビビッドなマルチボーダーのイージーパンツにエスニック調の伝統的な柄がのせられたシフォンブラウス。その上にはアースカラーの細身のノーカラーコートを羽織る。ファーのバッグを小脇に抱え、足元は軽快なスポンジソールの厚底サンダルを合わせる。このルックや招待状が象徴するように、コントラストが効いたコーディネートと意表を突く素材や柄が今季のポイント。万華鏡のようなビビッドカラーとアースカラー、マットなものとシャイニーなもの、透ける素材と重厚感のある素材、伝統的な柄とサイケデリックな柄、ルーズでイージーなものとテーラードなど。画素を下げた伝統的柄もある。それらがスタンダードなアイテムにのせられ、鮮度あるアイテムへ。アイテムのバリエーションも豊富で、中でもボトムスが目を引く。ドローストリングのイージーパンツをはじめ、クロップド&ハーフ、サルエルパンツから、ミッドカーフ丈のナロースカート、フレア、ロングスカートなど。欲しいものが何かしら見つかる幅広いラインアップだ。
意表を突いた組み合わせで作る型にはまらない自由なスタイルは、アシンメトリーなアイテムやフリンジディテールも鍵に。一見するとランダムでイージーだが、シルエットを細身にすることで、“完璧すぎない”エレガントなコレクションに仕上げている。
フィナーレではモデルがランウェイに座り込みリラックス。寝そべっているモデルもいる。ショー終了後もモデルは残り、招待客はそのモデルをスマートフォンで撮りはじめ、それはSNSを通じ、あっという間に拡散。会場をハッピーでリラックスあるムードで包み込んだコレクションは、時代に沿った演出法も含め秀逸の内容だ。