ワールドのメンズブランド「タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)」のクリエイティブディレクターを務める菊池武夫は、グループ企業のティンパンアレイが運営する古着チェーン「ラグタグ(RAGTAG)」と協業する。菊池が倉庫からセレクトした古着100点を、11月にワールド北青山ビルで開催するポップアップイベント「246st マーケット」で販売する。ポップアップにはスタイリストの三田真一、ファッションジャーナリストのシトウレイらも参加する。
7月下旬、菊池は都内のラグタグ倉庫に足を運び、ポップアップで販売する商品をピックアップした。「こりゃあすごいね」。約30万点の古着の山を前に目を輝かせた。「最近はテーラードが気分」と言い、かっちりとしたセットアップスーツを中心にスパンコールのブルゾンやパッチワークのミリタリージャケットもセレクトし、遊び心を忘れない。
新鮮味を失うのは「かったるいね」
ファッションへ情熱を燃やし続ける
「スーツはドレスアップのイメージだけど、自由に楽しんでもらいたい」と菊池。「今はモノも情報も増えたから、皆服をじっくり吟味して選ぶだろう。でも“冒険”はしづらくなっているんじゃないだろうか。着たいものを好きに着るのが一番楽しいんだ」と話す。ピックアップに要したのは1時間余り。「久々にワクワクした。あんなにたくさんの中から、自分が好きな服を選べることは中々ないからね」。
ファッションへの情熱は衰えない。毎朝、自分の服のコーディネートを選ぶのが何よりの楽しみと言う。自身が設立した「タケオキクチ」は来年40周年を迎えるが、今も毎日のようにアトリエに顔を出す。「僕は60年以上も業界にいる。どうしても頭でっかちになって、新鮮に感じられることも少なくなってくる。そういう自分が『かったるい』と思うこともあるよ。でも昔の服を今の感覚で着てみると、当時とは全く違う気付きがあるものだ。だからファッションは面白い。今日選んだアンティーク(古着)を手にとる若者は、いったいどんな風に着こなしてくれるだろうか。すごく楽しみになった」。