ファッション

「ルイ・ヴィトン」2015年春夏パリ フォンダシオンという船に乗せレトロ・シックな旅へ誘う

10月27日にパリ・ブローニュの森にオープン予定のフォンダシオン ルイ・ヴィトンを会場にニコラ・ジェスキエールによる3シーズン目(プレ・コレクションを含む)のコレクションが発表された。

 フランク・ゲーリーが設計した現代アートの殿堂、フォンダシオン ルイ・ヴィトンはその建築物自体がアート作品。大きく帆を広げた船のようにも、何か生物のようにも見える。そんな存在感ある建物を宇宙船に見立て、ジェスキエールは観客をファッションショーという旅へと導いた。

 光線が飛び交う真っ暗な会場。突如、さまざまな国籍の男女の顔が表われ、スペーシーな声でメッセージを伝えてくる。「この船は森に囲まれ、3600枚のガラスのパネルで覆われている」など、フォンダシオンの説明がなされた後、船が旅立つがごとくショーがスタートした。この時点で観客たちは、ジェスキエールが作り出した近未来な世界観に引き込まれており、まるで乗船客になった気分でショーを見守ることとなる。よりロマンティックな世界観を描いたマーク・ジェイコブスと方向性は異なるが、ジェスキールもまた巧みなストーリーテラーであることを実感した瞬間だ。

 勢い良く飛び出してきたのは、ファーストシーズンから一貫して続けているショート丈のフレッシュなスタイルだ。ベースは、1970年代のムード。そこに“ブリティッシュ・ユニフォーム”“ロマンティック”“サイケデリック”の3つのキーワードが織り込まれている。

 レトロな制服のような大きなラペルの紺ブレには、ロマンティックな白いレースのブラウスを合わせる。レースはコットンやレザーなど複数の素材からできるなど手が込んでおり、グログランテープ風の紐もよく見るとレザーだ。サイケなムードを盛り上げるのは、ハイウエストのベルベットの柄パンツや、艶やかな赤や黒のイール使いのドレス、どこか和を感じるプリントの組み合わせなど。

 ホワイトデニムにプリントしたモチーフは、ヘッドフォン、マッチ、マニキュア、ドライヤーなど女性の日用品。ただし電話はスマートフォンではなく、黒電話なところがレトロだ。

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